VSCodeでAndroidアプリを開発する場合、Androidエミュレータを利用すると、実機のAndroidスマートフォンを用意しなくてもアプリの動作確認ができます。
ただし、VSCode自体にAndroidエミュレータが内蔵されているわけではありません。
基本的には、Android StudioやAndroid SDKを使ってAndroid Emulatorと仮想端末を用意し、そのエミュレータをVSCodeから利用します。
FlutterやReact NativeでAndroidアプリを開発するときも、基本的な仕組みは同じです。
VSCodeでAndroidエミュレータを使う仕組み
VSCodeでAndroidエミュレータを利用する場合、一般的には次のような構成になります。
VSCode
↓
Flutter・React Nativeなど
↓
Android SDK
↓
Android Emulator
↓
Android Virtual Device(AVD)
Android Emulatorは、パソコン上で仮想的なAndroid端末を動作させるためのソフトウェアです。
AVDは「Android Virtual Device」の略で、仮想スマートフォンやタブレットの機種、Androidバージョン、画面サイズなどを設定した仮想端末です。
そのため、VSCodeだけをインストールしてもAndroidエミュレータは利用できません。
Android SDKやAndroid Emulatorなどを別途用意する必要があります。
Android Studioをインストールする
Android Studioを利用する理由
VSCodeで開発する場合でも、Android Studioをインストールしておく方法が一般的です。
Android Studioには、Androidアプリ開発に必要なツールを簡単に導入・管理できる機能があります。
主に次のようなツールを利用します。
Android SDK
Android SDK Platform
Android SDK Platform-Tools
Android SDK Command-line Tools
Android Emulator
Device Manager
VSCodeをメインのコードエディタとして利用する場合でも、Android StudioをSDKやエミュレータの管理ツールとして使用できます。
つまり、次のように使い分けることができます。
コード編集
→ VSCode
Android SDK管理
→ Android Studio
エミュレータ管理
→ Android StudioまたはAndroid CLI
アプリ実行・デバッグ
→ VSCode
Android Studioを常に起動しておく必要はありません。
最初にAndroid SDKやエミュレータを設定しておけば、その後はVSCode中心で開発できます。
Android SDKをインストールする
SDK Managerを開く
Android Studioを起動したら、SDK Managerを開きます。
Android Studioでプロジェクトを開いている場合は、基本的に次のメニューから開けます。
Tools
↓
SDK Manager
Welcome画面では、環境によって次のような項目から開けます。
More Actions
↓
SDK Manager
SDK Managerでは、Android SDKの保存場所やインストール済みパッケージを確認できます。
必要なSDKツールを確認する
SDK Managerでは、少なくとも次のツールを確認しておくとよいでしょう。
Android SDK Platform
Android SDK Platform-Tools
Android SDK Command-line Tools
Android Emulator
Flutterなどを利用する場合は、開発環境によって追加のSDKツールが必要になることもあります。
必要なパッケージにチェックを入れ、インストールします。
Androidエミュレータを作成する
Device Managerを開く
Android Studioで仮想Android端末を作成する場合は、Device Managerを利用します。
プロジェクトを開いている場合は、次のメニューから開けます。
Tools
↓
Device Manager
Welcome画面の場合は、環境によって次のような項目から開けます。
More Actions
↓
Virtual Device Manager
Android Studioのバージョンによってメニュー名称や位置が多少変わる場合があります。
仮想端末を作成する
Device Managerを開いたら、新しい仮想端末を作成します。
一般的には「Create Device」などのボタンを選択します。
スマートフォン向けアプリをテストする場合は、Pixelシリーズなどの標準的な端末を選ぶと分かりやすいです。
たとえば次のような端末を選択できます。
Pixel
Pixel Pro
Pixel Fold
Tablet
アプリの対象端末に合わせて選択してください。
Androidのシステムイメージを選択する
続いて、エミュレータで使用するAndroidのシステムイメージを選択します。
たとえば、利用可能な環境では次のようなAndroidバージョンを選択できます。
Android 16
Android 17
など
ただし、常に最新バージョンを選べばよいわけではありません。
実際にアプリを提供する対象ユーザーに合わせて、複数のAndroidバージョンで動作確認することも重要です。
システムイメージがインストールされていない場合は、ダウンロードしてから利用します。
Androidエミュレータを起動する
Android Studioから起動する
最も簡単なのは、Android StudioのDevice Managerから起動する方法です。
作成した仮想端末の横にある実行ボタンをクリックします。
Android Emulatorが起動し、仮想Android端末が表示されます。
この状態でVSCodeを開けば、FlutterやReact Nativeなどからエミュレータを利用できます。
adb devicesでエミュレータを確認する
Android Emulatorが正常に認識されているか確認する場合は、adbコマンドを利用します。
VSCodeで統合ターミナルを開きます。
WindowsやLinuxでは、一般的に次のショートカットを利用できます。
Ctrl + `
ターミナルで次のコマンドを実行します。
adb devices
正常に認識されている場合は、次のように表示されます。
List of devices attached
emulator-5554 device
deviceと表示されていれば、ADBからAndroid Emulatorが認識されています。
VSCodeからAndroidエミュレータを起動する方法
毎回Android Studioを開きたくない場合は、コマンドラインからAndroid Emulatorを起動することもできます。
ただし、2026年現在はAndroid Emulatorのコマンド体系が移行期にあります。
現在推奨されるAndroid CLIを利用する
2026年9月時点では、Android公式は新しいAndroid CLIを利用する方向へ移行しています。
利用できる仮想端末を確認する場合は、次のようなコマンドを利用できます。
android emulator list
仮想端末を起動する場合は、次の形式です。
android emulator start <device-name>
たとえば、デバイス名がPixel_9_API_36の場合は、次のように実行します。
android emulator start Pixel_9_API_36
Android Emulatorをコマンドライン中心で管理する場合は、今後はこちらのAndroid CLIを利用する方法を基本に考えるとよいでしょう。
従来のemulatorコマンドを利用する
既存の開発環境や古い解説記事では、従来のemulatorコマンドが多く利用されています。
利用可能なAVD一覧を表示する場合は、次のコマンドを利用します。
emulator -list-avds
たとえば次のように表示されます。
Pixel_9_API_36
Pixel_Tablet_API_36
特定のAVDを起動する場合は、次のように実行します。
emulator -avd Pixel_9_API_36
または、次の形式でも起動できます。
emulator @Pixel_9_API_36
ただし、2026年9月時点では従来のemulatorツールは非推奨とされています。
新しく環境を構築する場合は、Android CLIを利用する方法も確認しておくことをおすすめします。
avdmanagerは現在非推奨
以前はコマンドラインからAVDを作成・管理する場合、avdmanagerがよく利用されていました。
しかし、2026年時点ではavdmanagerも非推奨となっています。
そのため、新しい環境ではAndroid CLIを利用する方法が推奨されています。
古い記事では次のようなコマンドが紹介されている場合があります。
avdmanager
emulator
現在は、次のように整理して理解すると分かりやすいです。
従来方式
→ emulator
→ avdmanager
現在推奨される方式
→ android emulator
既存プロジェクトでは従来方式が残っていることも多いため、両方を知っておくとトラブルシューティングに役立ちます。
emulatorやadbが見つからない場合
Android SDKの場所を確認する
WindowsではAndroid SDKが一般的に次のような場所へインストールされます。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Android\Sdk
ただし、Android SDKの保存場所は変更できます。
そのため、正確な場所はAndroid StudioのSDK Managerに表示される「Android SDK Location」で確認してください。
Android SDKフォルダには、環境によって次のようなフォルダがあります。
Sdk
├─ emulator
├─ platform-tools
├─ cmdline-tools
├─ platforms
└─ system-images
PATHを設定する
adbをどのフォルダからでも利用したい場合は、platform-toolsをPATHに追加すると便利です。
Windowsでは、一般的に次のようなパスになります。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Android\Sdk\platform-tools
従来のemulatorコマンドを利用する場合は、次のフォルダもPATHへ追加します。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Android\Sdk\emulator
PATHを変更した後は、起動済みのVSCodeを一度終了して再起動すると、設定が反映されやすくなります。
FlutterでAndroidエミュレータを使う方法
Flutterでは、VSCodeとAndroid Emulatorを組み合わせて開発する方法が一般的です。
Flutter拡張機能をインストールする
VSCodeの拡張機能画面を開き、Flutter拡張機能をインストールします。
Flutter開発ではDartも利用します。
Flutter拡張機能を導入すると、VSCodeからデバイス選択やデバッグなどを行いやすくなります。
flutter doctorで環境を確認する
ターミナルで次のコマンドを実行します。
flutter doctor
Flutterの開発環境に問題がないか確認できます。
特に次のような項目を確認します。
Android toolchain
Android Studio
VS Code
Connected device
問題が表示された場合は、その内容に応じてAndroid SDKやFlutter SDKの設定を修正します。
Android SDKライセンスに同意する
Android SDKライセンスに関する警告が表示された場合は、次のコマンドを実行します。
flutter doctor --android-licenses
表示される内容を確認しながらライセンスに同意します。
その後、もう一度次のコマンドを実行します。
flutter doctor
警告が解消されているか確認してください。
Flutterからエミュレータを確認する
利用可能なエミュレータを確認する場合は、次のコマンドを実行します。
flutter emulators
現在接続されている端末を確認する場合は、次のコマンドを利用します。
flutter devices
Android Emulatorが正常に起動していれば、Android端末として表示されます。
Flutterからエミュレータを起動する
Flutterからエミュレータを起動できる場合もあります。
まず、次のコマンドでエミュレータIDを確認します。
flutter emulators
続いて、次の形式で起動します。
flutter emulators --launch <emulator-id>
エミュレータ起動後は、次のコマンドで認識状態を確認します。
flutter devices
Android端末として表示されれば準備完了です。
VSCodeからFlutterアプリを実行する
実行する端末を選択する
FlutterプロジェクトをVSCodeで開くと、ステータスバーに利用中のデバイスが表示されます。
そこをクリックすると、利用可能な端末を選択できます。
また、コマンドパレットから選択する方法もあります。
Ctrl + Shift + P
コマンドパレットで次の項目を検索します。
Flutter: Select Device
起動中のAndroid Emulatorを選択します。
F5でアプリを実行する
Android Emulatorを選択した状態で、次のキーを押します。
F5
または、VSCodeのメニューから次の操作を行います。
Run
↓
Start Debugging
Flutterアプリがビルドされ、Android Emulator上で実行されます。
ターミナルから実行する場合は、次のコマンドも利用できます。
flutter run
参考サイト
【Flutter】VSCodeのAndroidエミュレーターでアプリを起動させる方法
React NativeでAndroidエミュレータを使う方法
React NativeでもAndroid Emulatorの基本的な仕組みは同じです。
まず、Android StudioやAndroid CLIからAndroid Emulatorを起動します。
続いて、次のコマンドで端末が認識されているか確認します。
adb devices
Android Emulatorが表示されていれば、React Nativeからアプリを実行できます。
構成としては、次のようになります。
VSCode
↓
React Native
↓
Android SDK・ADB
↓
Android Emulator
React Native自体が独自のAndroid Emulatorを提供しているわけではありません。
Android SDK側のエミュレータを利用します。
VSCode拡張機能からエミュレータを操作する方法
VSCode Marketplaceには、Android Emulatorの起動や管理を補助するサードパーティー拡張機能もあります。
このような拡張機能を利用すると、VSCodeのコマンドパレットやサイドバーからエミュレータを起動できる場合があります。
ただし、これらの拡張機能がAndroid Emulatorそのものを提供しているわけではありません。
あらかじめAndroid SDKやAVDをセットアップしておく必要があります。
また、サードパーティー拡張機能は、更新停止や仕様変更が発生する可能性があります。
そのため、安定性を重視する場合は、Android StudioまたはAndroid CLIでエミュレータを管理し、VSCodeはコード編集やデバッグに利用する方法がおすすめです。
APKをAndroid Emulatorへ直接インストールする方法
Android Emulatorが起動している状態であれば、ADBからAPKファイルをインストールできます。
次のように実行します。
adb install app-debug.apk
APKファイルの場所に合わせてパスを指定します。
たとえば次のように実行できます。
adb install ./build/app-debug.apk
既存のアプリを再インストールする場合は、状況に応じて-rオプションを利用できます。
adb install -r app-debug.apk
複数のAndroid Emulatorを使う場合
複数のエミュレータを同時に起動することもできます。
まず、次のコマンドを実行します。
adb devices
たとえば次のように表示されます。
emulator-5554 device
emulator-5556 device
特定の端末へADBコマンドを実行したい場合は、-sオプションで端末を指定します。
adb -s emulator-5554 shell
Flutterでも複数の端末が接続されている場合は、VSCodeのステータスバーやFlutter: Select Deviceから対象端末を選択できます。
Android EmulatorがVSCodeで認識されない場合
adb devicesを確認する
最初に確認したいのがadb devicesです。
adb devices
Android Emulatorが表示されていなければ、VSCodeやFlutterではなく、Android SDKやADB側で問題が発生している可能性があります。
ADBを再起動する
ADBの状態に問題がある場合は、次のコマンドで再起動できます。
adb kill-server
adb start-server
adb devices
これだけで認識が改善する場合があります。
Flutterではflutter doctorを確認する
Flutterの場合は、次のコマンドを実行します。
flutter doctor
続いて、端末一覧を確認します。
flutter devices
Flutter側でAndroid SDKや端末を正常に認識できているか確認できます。
VSCodeにNo Devicesと表示される場合
Flutterプロジェクトを開いたとき、VSCodeに次のように表示される場合があります。
No Devices
これはFlutterが利用可能な端末を認識していない状態です。
まずAndroid Emulatorを起動してください。
その後、次の順番で確認すると原因を切り分けやすくなります。
adb devices
flutter devices
adb devicesには表示されるのにflutter devicesに表示されない場合は、Flutter側のAndroid SDK設定などに問題がある可能性があります。
Android Emulatorが重い場合
ハードウェアアクセラレーションを確認する
Android Emulatorは仮想環境を動かすため、パソコンによっては動作が重くなることがあります。
快適に利用するには、CPUの仮想化機能やハードウェアアクセラレーションを利用することが重要です。
Windowsの場合は、BIOSまたはUEFIの仮想化設定やWindows側のハイパーバイザー機能が影響する場合があります。
エミュレータの動作が極端に遅い場合は、これらの設定を確認してください。
メモリを割り当てすぎない
エミュレータへ大量のRAMを割り当てれば必ず高速になるわけではありません。
パソコンでは、同時に次のようなアプリケーションが動作することがあります。
VSCode
ブラウザ
Node.js
Gradle
Android Emulator
エミュレータへメモリを割り当てすぎると、PC全体のメモリ不足が発生し、逆に処理が遅くなる可能性があります。
パソコンの搭載RAMに合わせて設定してください。
Android Emulatorを初期化する方法
アプリのテストを繰り返していると、古いアプリデータや設定が残って問題になる場合があります。
Android StudioのDevice Managerでは、仮想端末のデータを消去できます。
従来のemulatorコマンドを利用している環境では、次のような方法もあります。
emulator @Pixel_9_API_36 -wipe-data
ただし、仮想端末内に保存されているアプリや設定なども削除されます。
必要なデータがないことを確認してから実行してください。
VSCodeとAndroid Studioは併用するのがおすすめ
VSCodeとAndroid Studioは、どちらか一方だけを使わなければならないわけではありません。
FlutterやReact Nativeでは、次のように役割を分ける方法が実用的です。
コード編集
→ VSCode
Android SDK管理
→ Android Studio
AVD作成
→ Android Studio
エミュレータ管理
→ Android Studio・Android CLI
アプリ実行
→ VSCode
端末との通信
→ adb
Android StudioはSDKやエミュレータの管理に強く、VSCodeは軽量なコード編集や拡張機能による開発に向いています。
両方の長所を活用すると、効率よくAndroidアプリを開発できます。
VSCodeでAndroidエミュレータを使う基本手順
初めて環境を構築する場合は、次の順番で設定すると分かりやすいです。
1. VSCodeをインストール
↓
2. Android Studioをインストール
↓
3. Android SDKをインストール
↓
4. Device Managerを開く
↓
5. Android Virtual Deviceを作成
↓
6. Android Emulatorを起動
↓
7. adb devicesで認識を確認
↓
8. VSCodeでプロジェクトを開く
↓
9. Android Emulatorを実行端末として選択
↓
10. F5などでアプリを実行
Flutterの場合は、さらに次のコマンドも確認しておくとよいでしょう。
flutter doctor
flutter devices
これらを利用すると、Android開発環境や端末の認識状態を確認できます。
まとめ
VSCodeでAndroidエミュレータを使う場合は、VSCodeだけで完結するのではなく、Android SDKやAndroid Emulatorと組み合わせて利用します。
初心者の場合は、Android Studioをインストールし、SDK ManagerとDevice ManagerからAndroid SDKとAVDを設定する方法が分かりやすいでしょう。
その後はAndroid Emulatorを起動し、VSCodeからFlutterやReact Nativeなどのアプリを実行できます。
Flutterの場合は、flutter doctorやflutter devicesで環境を確認し、VSCodeのFlutter: Select DeviceからAndroid Emulatorを選択してF5で実行できます。
また、2026年9月時点ではAndroid Emulator関連のコマンドが移行期にあります。
従来のemulatorやavdmanagerは非推奨となっており、新しいAndroid CLIのandroid emulatorを利用する方向へ移行しています。
そのため、これから新しく環境を構築する場合は、Android StudioによるGUI操作に加えて、新しいAndroid CLIの使い方も把握しておくと、今後のAndroid開発環境にも対応しやすくなります。
以上、VSCodeでAndroidエミュレータを使う方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。









