PHPについて調べていると、「PHPはオワコン」「PHPは将来性がない」といった意見を目にすることがあります。
しかし、PHPは現在もWebサイトやWebシステムで広く利用されており、すぐに使われなくなるような言語ではありません。
一方で、JavaScriptやTypeScript、Python、Goなどの存在感が高まり、新規開発における選択肢が増えたことで、以前と比べるとPHPが話題になる機会は少なくなっています。
そのため、「最先端の言語として注目されているか」と「実務で使われているか」を分けて考えることが重要です。
PHPは最新技術としての話題性では他の言語に譲る部分があるものの、WordPressやWebシステム、既存サービスの保守・改修などでは、現在も重要な役割を担っています。
PHPがオワコンと言われる理由
PHPがオワコンと言われる背景には、PHPそのものが使えなくなったという事情ではなく、Web開発を取り巻く環境の変化があります。
ここでは、PHPが古い言語だと思われやすい主な理由を紹介します。
JavaScriptやTypeScriptの利用範囲が広がっている
現在のWeb開発では、JavaScriptやTypeScriptが非常に重要な存在になっています。
JavaScriptはもともとブラウザ上で動作するフロントエンド向けの言語として広く使われてきました。
現在ではNode.jsなどを利用することで、バックエンド開発にもJavaScriptやTypeScriptを使用できます。
例えば、フロントエンドをReactとTypeScript、バックエンドをNode.jsとTypeScriptで構築すれば、同じ言語を中心にWebサービス全体を開発できます。
こうした開発スタイルが普及したことで、サーバーサイドを中心に利用されるPHPは、以前より相対的に存在感が小さくなったように見えることがあります。
ただし、TypeScriptがPHPを完全に置き換えているわけではありません。
それぞれ得意な領域や既存のエコシステムが異なるため、プロジェクトの目的に応じて使い分けられています。
Pythonなど他の言語が注目されている
Pythonの人気が高まっていることも、PHPが以前ほど注目されなくなった理由の一つです。
PythonはWeb開発だけでなく、AIや機械学習、データ分析、自動化など幅広い用途で使用されています。
特に生成AIやデータサイエンスへの関心が高まったことで、プログラミングを学び始める人がPythonを選択するケースも増えています。
PHPはWeb開発を得意とする一方、AIやデータ分析分野ではPythonほど一般的ではありません。
そのため、近年の技術トレンドだけを見るとPHPの存在感が小さく感じられることがあります。
ただし、Pythonの人気上昇がPHPの利用減少の直接的な原因であると断定することはできません。
あくまで、新しい分野で注目される言語が増えたことで、PHPが相対的に話題になりにくくなったと考えるのが適切です。
古いPHPコードのイメージが残っている
PHPは1990年代から使われている歴史の長いプログラミング言語です。
そのため、現在も古いバージョンのPHPで作られたWebシステムや、長期間改修を繰り返してきたコードが残っています。
こうしたシステムの中には、設計が整理されていなかったり、保守が難しくなっていたりするものもあります。
その経験から、「PHPはコードが汚くなりやすい」「PHPは保守しにくい」と評価されることがあります。
しかし、コードの保守性はPHPだけで決まるものではありません。
現在のPHPでは、型宣言やクラス、インターフェース、名前空間、Enum、Attributeなど、モダンな開発に必要な機能を利用できます。
また、Composerによるパッケージ管理や、PHPUnitによるテスト、PHPStanやPsalmなどを利用した静的解析も可能です。
適切な設計や開発ルールを採用すれば、PHPでも保守性の高いWebアプリケーションを構築できます。
WordPress専用の言語だと思われやすい
PHPという言葉から、WordPressをイメージする人も多いでしょう。
WordPressがPHPで開発されているため、PHPとWordPressの結び付きが非常に強いことは事実です。
しかし、PHPはWordPress専用のプログラミング言語ではありません。
PHPにはLaravelやSymfonyなどのWebアプリケーションフレームワークがあり、業務システムやWebサービス、管理画面、APIなどの開発にも利用できます。
そのため、「PHPはWordPressをカスタマイズするためだけの言語」と考えるのは正確ではありません。
新規サービスで別の言語が選ばれることがある
新しくWebサービスを立ち上げる場合、PHP以外の言語が採用されるケースもあります。
例えば、TypeScript、Python、Go、Java、Kotlinなどがバックエンド開発の選択肢になります。
フロントエンドとバックエンドをTypeScriptで統一したい場合や、AI機能との連携を重視する場合など、サービスの要件によって適した技術は異なります。
そのため、新規スタートアップや最新Webサービスだけを見ていると、「PHPはもう使われていない」と感じることがあります。
しかし、Web開発市場には新規サービスだけでなく、既存サイトの運用、WordPress、ECサイト、業務システム、Laravelアプリケーションなども含まれます。
こうした領域では、PHPが現在も利用されています。
PHPの現在の需要
PHPの需要を判断するときは、SNSなどで話題になっているかだけでなく、実際にどのようなWebサイトやシステムで利用されているかを見ることが重要です。
Webサイトで現在も広く利用されている
PHPは現在も、サーバーサイドのWeb開発で非常に広く利用されています。
Web技術の利用状況を調査しているW3Techsでは、PHPはサーバーサイド言語を判別できるWebサイトの約7割で利用されています。
ただし、この数字は「世界中の全Webサイトの約7割がPHPで動いている」という意味ではありません。
あくまで、W3Techsがサーバーサイド言語を判別できたWebサイトを母数とした割合です。
また、PHPのシェアは依然として高い一方、長期的には低下傾向も見られます。
したがって、「PHPのシェアは圧倒的だから今後も変わらない」と考えるのではなく、「利用規模は依然として非常に大きいが、他の技術も成長している」と捉えるのが適切です。
WordPress関連ではPHPの知識が役立つ
PHPの需要を支えている大きな存在がWordPressです。
WordPressは現在も世界中の非常に多くのWebサイトで利用されており、全Webサイトに占める割合は約4割に達しています。
WordPress本体がPHPで構築されているため、本格的なカスタマイズを行う場合はPHPの知識が必要になります。
例えば、以下のような業務ではPHPを扱う機会があります。
・オリジナルテーマの開発
・WordPressテーマのカスタマイズ
・プラグインの開発
・functions.phpの編集
・独自テンプレートの作成
・WooCommerceのカスタマイズ
・既存サイトの不具合修正
・PHPバージョンアップへの対応
WordPressの管理画面から記事を更新するだけであれば、PHPを理解していなくても利用できます。
しかし、Webサイトを自由にカスタマイズしたり、不具合を調査したりするためには、PHPの知識が大きな強みになります。
Laravelを使ったWebシステム開発でも利用されている
PHPはWordPressだけでなく、Laravelなどのフレームワークを使ったWebアプリケーション開発でも利用されています。
Laravelには、Webシステムの開発に必要なさまざまな機能が用意されています。
例えば、ルーティング、認証、データベース操作、ORM、キュー、キャッシュ、API、テストなどを体系的に利用できます。
Laravel自体も継続的にアップデートされているため、PHPを使ったモダンなWebアプリケーション開発は現在も行われています。
既存PHPシステムの保守・改修需要がある
PHPは長年Web開発で使われてきたため、すでにPHPで構築されたWebシステムが数多く存在します。
企業が既存のシステムをすべて別のプログラミング言語で作り直すには、大きな費用と時間が必要です。
そのため、既存システムを維持しながら改善していくケースも少なくありません。
具体的には、以下のような作業が発生します。
・PHPのバージョンアップ
・古いコードのリファクタリング
・フレームワークのアップデート
・セキュリティ対策
・データベース処理の改善
・APIの追加
・クラウド環境への移行
・パフォーマンス改善
既存PHPシステムが数多く存在していることから、保守や改修、移行に関する一定の需要は今後も続くと考えられます。
PHPは現在も開発されている
「PHPはオワコン」と聞くと、PHP自体の開発が終了しているように感じるかもしれません。
しかし、PHPは現在も継続的にアップデートされています。
PHP 8系の開発が続いている
現在のPHPではPHP 8系が中心となっており、新しいバージョンも継続的に公開されています。
PHP 8以降では、型システムの強化やEnum、Attributeなど、モダンなアプリケーション開発に役立つさまざまな機能が追加されてきました。
そのため、現在のPHPと10年以上前のPHPでは、開発環境や言語機能に大きな違いがあります。
「昔のPHPのイメージ」だけで現在のPHPを評価するのは適切ではありません。
PHPには明確なサポート期間がある
PHPにはバージョンごとにサポート期間が設定されています。
通常のバグ修正が提供される期間と、セキュリティ修正のみが提供される期間が分けられており、サポート終了後は新しいバージョンへの移行が必要になります。
例えば、PHP 8.2は通常のアクティブサポートを終了しており、セキュリティサポートも2026年12月31日に終了する予定です。
WebサイトやWebシステムを安全に運用するためには、古いPHPを使い続けず、サポートされているバージョンへ定期的に更新することが重要です。
PHPを今から学ぶメリット
PHPは用途によっては、現在から学び始めても十分に役立つプログラミング言語です。
特にWeb制作やWordPress、Webバックエンド開発に関わる場合は、実務に直結しやすい知識といえます。
Web制作やWordPressで活用できる
Web制作の現場ではWordPressを扱う機会があります。
HTMLやCSS、JavaScriptだけでもWebページを制作できますが、WordPressを本格的にカスタマイズする場合はPHPが必要になることがあります。
PHPを理解していれば、既存テーマの修正だけでなく、独自テンプレートや機能の実装にも対応しやすくなります。
WordPress案件を扱うWeb制作者にとって、PHPは現在も実用性の高い技術です。
Webマーケティングにも役立つ
PHPはエンジニアだけでなく、Webマーケティングに関わる人にも役立つ場合があります。
例えば、WordPressを利用したオウンドメディアやSEOサイトでは、テンプレートやフォーム、計測処理などにPHPが関係することがあります。
PHPを理解していれば、以下のような施策の仕組みを理解しやすくなります。
・WordPressのテンプレート変更
・問い合わせフォームのカスタマイズ
・コンバージョン計測
・外部APIとの連携
・CRMなどへのデータ送信
・サーバーサイドでの処理
・SEOに関係するHTML出力の調整
すべてを自分で開発する必要はありませんが、PHPを読めるだけでもエンジニアとのコミュニケーションやトラブルの原因調査に役立ちます。
Webバックエンドの基本を学びやすい
PHPを学ぶことで、Webバックエンドに関する基本的な仕組みも理解できます。
例えば、HTTPリクエスト、フォーム送信、Cookie、Session、データベース、SQL、認証、APIなどです。
これらはPHP以外のバックエンド言語を使用する場合にも共通する知識です。
そのため、PHPを通じてWebアプリケーションの仕組みを学び、その後ほかの言語やフレームワークに進むこともできます。
PHPを優先しなくてもよいケース
PHPには現在も利用価値がありますが、すべての目的に最適なプログラミング言語というわけではありません。
目的によっては、ほかの言語を優先したほうが効率的です。
AIや機械学習を学びたい場合
AIや機械学習、データ分析を中心に学びたいのであれば、PHPよりPythonを優先したほうがよいでしょう。
Pythonには、AIやデータ分析に関する非常に充実したライブラリやフレームワークがあります。
そのため、生成AIや機械学習エンジニアを目指す場合は、PHPを最初に選ぶ必要性は高くありません。
フロントエンド開発をしたい場合
ReactやVueなどを使ってブラウザ上のUIを開発したいのであれば、JavaScriptやTypeScriptを優先するのが一般的です。
PHPは通常サーバー側で実行され、HTMLなどを生成してブラウザへ返します。
PHPコードそのものが通常のWebブラウザ上で直接実行されるわけではありません。
そのため、ブラウザ上で動的なUIを構築するフロントエンド開発を目指す場合は、JavaScriptやTypeScriptの習得が重要です。
スマートフォンアプリを開発したい場合
iPhoneやAndroid向けのアプリを直接開発したい場合も、PHPを最優先する必要はありません。
SwiftやKotlin、Dart、JavaScriptやTypeScriptなどが候補になります。
PHPをスマートフォンアプリのバックエンドAPIとして利用することはできますが、スマートフォンアプリ本体を開発するための主要言語ではありません。
PHPの将来性はどうなのか
PHPの将来について、「完全になくなるのではないか」と心配する人もいるでしょう。
しかし、現在の利用規模やPHP本体の開発状況を考えると、少なくとも短期的にPHPがWeb開発から使われなくなる可能性は低いと考えられます。
WordPressをはじめ、PHPで構築されたWebサイトやWebシステムは非常に多く存在しています。
また、PHP本体やLaravelなどの主要なエコシステムも継続して開発されています。
一方で、PHPのWebサイトにおけるシェアは長期的に低下傾向が見られ、TypeScriptやPython、Goなど、バックエンド開発の選択肢も増えています。
そのため、今後もPHPだけを学んでいれば十分とは限りません。
PHPを利用しながら、JavaScriptやTypeScript、SQL、Linux、クラウド、APIなど周辺技術も学ぶことで、より幅広いWeb開発に対応しやすくなります。
PHPはオワコンではないが目的に応じた使い分けが重要
PHPが「オワコン」と言われる背景には、JavaScriptやTypeScript、Pythonなどの人気上昇や、新規開発における技術選択の多様化があります。
また、PHPは歴史の長い言語であるため、古いPHPコードに対するイメージが現在のPHPにも引き継がれている面があります。
しかし、PHPは現在もWebサイトで広く利用されており、WordPress、Laravel、既存Webシステムの保守・改修などでは実務上重要な言語です。
PHP本体も現在まで継続的にアップデートされているため、「開発が終了していて、もう使われなくなる言語」と考えるのは正確ではありません。
一方で、AIならPython、フロントエンドならJavaScriptやTypeScriptというように、目的によって適した言語は異なります。
したがって、PHPに将来性があるかどうかを一律に判断するのではなく、自分が取り組みたい分野や仕事にPHPが必要かどうかを基準に判断することが重要です。
以上、PHPはオワコンと言われる理由や現在の需要についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










