VSCodeでJuliaを使うために必要なもの

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VSCode(Visual Studio Code)では、Juliaの公式拡張機能を導入することで、Juliaの開発環境を構築できます。

コード補完やJulia REPL、デバッグ、変数の確認、ドキュメント参照、グラフ表示などをVSCode上で利用できるため、Juliaを使ったプログラミングやデータ分析、科学技術計算にも便利です。

VSCodeでJuliaを使用するには、基本的に以下の3つを準備します。

  • Julia本体
  • Visual Studio Code
  • VSCodeのJulia拡張機能

Julia拡張機能だけをインストールしても、Juliaのプログラムそのものを実行することはできません。

実際にJuliaコードを処理するためのJulia本体もインストールしておく必要があります。

目次

Juliaをインストールする

juliaupを利用する

Juliaを新しくインストールする場合は、Julia公式のバージョン管理ツールである「juliaup」を利用する方法が便利です。

juliaupを使うと、Juliaのインストールだけでなく、バージョンの更新や複数バージョンの切り替えも管理しやすくなります。

たとえば、安定版と開発版など複数のJuliaをインストールし、用途に応じて切り替えることもできます。

WindowsではMicrosoft Storeなどからjuliaupを導入できます。

macOSやLinuxでも、Julia公式が案内しているコマンドを利用してjuliaupをインストールできます。

Juliaを長期間利用する予定であれば、単純にJuliaの実行ファイルを直接配置するよりも、juliaupを利用したほうがバージョン管理がしやすくなります。

Juliaがインストールされているか確認する

Juliaをインストールしたら、ターミナルやコマンドプロンプトで次のコマンドを実行します。

julia --version

Juliaのバージョンが表示されれば、正常にインストールされています。

たとえば、次のように表示されます。

julia version 1.x.x

juliaコマンドが認識されない場合は、Juliaが正しくインストールされていないか、PATHの設定に問題がある可能性があります。

VSCodeをインストールする

Visual Studio Codeを用意する

VSCodeをまだインストールしていない場合は、Visual Studio Codeの公式サイトからインストーラーをダウンロードします。

VSCodeは、Windows、macOS、Linuxに対応しています。

すでにVSCodeを使用している場合は、新しくインストールする必要はありません。

Julia拡張機能との互換性やセキュリティを考えると、VSCode本体もできるだけ新しいバージョンへ更新しておくとよいでしょう。

Julia拡張機能をインストールする

拡張機能画面を開く

VSCodeを起動したら、画面左側にある「Extensions(拡張機能)」を開きます。

WindowsやLinuxでは、一般的に次のショートカットでも開けます。

Ctrl + Shift + X

検索欄に、

Julia

と入力します。

検索結果からJulia公式の拡張機能を選択します。

拡張機能IDは次のとおりです。

julialang.language-julia

「Install」をクリックしてインストールします。

インストール後、必要に応じてVSCodeを再起動します。

参考サイト

Julia のインストール&VS Code での開発環境構築

VSCodeがJuliaを認識しているか確認する

Julia REPLを起動する

Juliaが正常に認識されているかを確認するには、Julia REPLを起動するのが簡単です。

VSCodeでコマンドパレットを開きます。

WindowsやLinuxでは、一般的に次のショートカットを使用できます。

Ctrl + Shift + P

コマンドパレットに、

Julia: Start REPL

と入力して実行します。

VSCode下部のターミナル領域に、

julia>

と表示されれば、Julia REPLが正常に起動しています。

たとえば、次のコードを入力してみましょう。

println("Hello Julia!")

正常に動作していれば、

Hello Julia!

と表示されます。

Juliaが認識されない場合の設定方法

julia.executablePathを確認する

Juliaを標準的な場所にインストールしている場合や、Juliaの実行ファイルがPATHに登録されている場合は、通常VSCodeが自動的にJuliaを検出します。

一方、Juliaを特殊なフォルダにインストールしている場合などは、自動検出されないことがあります。

その場合は、VSCodeの設定で、

julia.executablePath

を指定します。

settings.jsonで設定する

VSCodeのコマンドパレットから、

Preferences: Open User Settings (JSON)

などを選択してsettings.jsonを開きます。

Windowsの場合は、たとえば次のように設定します。

{
    "julia.executablePath": "C:\\path\\to\\julia.exe"
}

JSONでは\が特殊文字として扱われるため、Windowsのパスを直接指定するときは\\と記述します。

macOSやLinuxでは、たとえば次のように指定できます。

{
    "julia.executablePath": "/path/to/julia"
}

ただし、juliaupを利用してJuliaがPATH上から正常に実行できる場合は、通常julia.executablePathを手動設定する必要はありません。

Juliaファイルを作成する

プロジェクトフォルダを開く

VSCodeでJuliaを使う場合は、作業用のフォルダを作成し、そのフォルダをVSCodeで開く方法がおすすめです。

たとえば、

julia-study

というフォルダを作成します。

VSCodeで、

ファイル
→ フォルダーを開く

から対象フォルダを開きます。

プロジェクト単位でフォルダを分けると、ソースコードや依存パッケージを整理しやすくなります。

.jlファイルを作成する

Juliaのソースファイルには、

.jl

という拡張子を使用します。

たとえば、

hello.jl

というファイルを作ります。

ファイル内に次のコードを書いてみましょう。

msg = "Hello World"
println(msg)

これで最初のJuliaプログラムを作成できます。

Juliaプログラムを実行する

ファイル全体を新しいJuliaプロセスで実行する

Juliaファイル全体を実行したい場合は、VSCodeから新しいJuliaプロセスを起動して実行できます。

Julia拡張機能には、

Julia: Run File in New Process

というコマンドがあります。

また、VSCodeの、

Run: Start Without Debugging

を利用する方法もあります。

環境によっては、

Ctrl + F5

で実行できます。

この方法では、現在起動しているJulia REPLとは別の新しいJuliaプロセスでファイルが実行されます。

REPLとCtrl + F5の違い

Juliaを使ううえで注意したいのが、REPLとファイル実行の違いです。

Julia: Start REPLで起動したREPLと、Ctrl + F5などで実行したJuliaプロセスは、基本的に別のプロセスです。

たとえば、REPLで、

x = 100

と定義していても、別プロセスで実行されるファイル側から、そのxをそのまま利用できるわけではありません。

対話的にコードを試したい場合はREPLを使い、プログラム全体を独立して実行したい場合はファイル実行を使うと分かりやすいでしょう。

Julia REPLを活用する

REPLとは

REPLは、

Read
Eval
Print
Loop

の頭文字を取った言葉です。

入力したコードをすぐに実行し、その結果を確認できる対話型環境を意味します。

JuliaではREPLを活用する場面が非常に多くあります。

たとえば、

x = 10
y = 20
x + y

と入力すると、

30

のように、計算結果をその場で確認できます。

VSCodeからREPLを起動する

コマンドパレットで、

Julia: Start REPL

を実行します。

VSCodeのJulia拡張機能から起動したREPLは、VSCodeとの統合機能を利用できます。

単純に通常のターミナルから、

julia

と入力して起動したJuliaとは、利用できるVSCode統合機能が異なる場合があります。

そのため、VSCode上でJuliaを開発する場合は、基本的にJulia: Start REPLを利用すると便利です。

Juliaコードの一部分だけを実行する

選択したコードをREPLへ送信する

Juliaでは、ファイル全体を毎回実行する必要はありません。

コードの一部分だけをJulia REPLへ送信して実行できます。

たとえば、

x = 10
y = 20

result = x + y
println(result)

というコードがある場合、必要な部分だけを実行できます。

代表的なコマンドとして、

Julia: Execute Code in REPL

があります。

一般的なデフォルト設定では、

Ctrl + Enter

などのショートカットから実行できます。

また、

Julia: Execute Code in REPL and Move

や、

Julia: Execute Code Cell in REPL

といったコマンドも利用できます。

ただし、ショートカットはOS、VSCodeの設定、Julia拡張機能のバージョンによって異なる可能性があります。

確実に確認したい場合は、コマンドパレットで、

Julia

と検索するとよいでしょう。

VSCodeでコード補完を利用する

IntelliSenseによる補完

Julia拡張機能を導入すると、コード補完機能を利用できます。

たとえば、

prin

のように入力すると、

print
println

などの候補が表示されます。

関数名や変数名、モジュールなどについて候補が表示されるため、入力ミスを減らしながらコードを書けます。

コード補完だけでなく、関数情報の表示やコードナビゲーションなども利用できます。

Julia Viewを利用する

Workspaceを確認する

Julia拡張機能をインストールすると、VSCode上からJulia関連の情報を確認できるJulia Viewを利用できます。

Workspaceでは、アクティブなJuliaセッションのワークスペース状態を確認できます。

たとえば、

x = 100
name = "Julia"
numbers = [1, 2, 3, 4, 5]

などを実行した場合、実行中のセッションで扱っている変数などを確認する際に役立ちます。

特にデータ分析や数値計算では変数が増えやすいため、Workspaceを利用すると現在の状態を把握しやすくなります。

Documentationを利用する

Julia ViewにはDocumentation機能もあります。

Juliaの関数や機能について、VSCode内からドキュメントを確認できます。

たとえば、

println

などについて調べるときに便利です。

また、Juliaセッション内で、

using パッケージ名

としてパッケージを読み込んでいる場合、そのパッケージに関するドキュメントも参照しやすくなります。

Plot Navigatorを利用する

Juliaで作成したグラフは、VSCodeのPlot PaneやPlot Navigatorで確認できます。

科学技術計算やデータ分析では、コードとグラフを同じVSCode上で確認できるため便利です。

Juliaのパッケージをインストールする

Pkgを使ってインストールする

Juliaには標準のパッケージ管理機能であるPkgがあります。

たとえば、グラフ作成に利用されるPlotsパッケージをインストールする場合は、次のようにします。

using Pkg
Pkg.add("Plots")

インストール後は、

using Plots

と記述すると利用できます。

Pkg REPLモードを利用する

Julia REPLでは、

]

キーを入力するとPkg REPLモードへ移動できます。

通常の、

julia>

から、

pkg>

というプロンプトに変わります。

たとえば、

add Plots

と入力すると、Plotsをインストールできます。

通常のJulia REPLへ戻る場合は、Backspaceキーなどを使用します。

Juliaでグラフを表示する

Plotsを使う

Plotsパッケージを利用すると、Juliaで簡単にグラフを作成できます。

たとえば、次のようなコードを実行します。

using Plots

x = 1:10
y = rand(10)

plot(x, y)

VSCodeのJulia拡張機能から実行すると、対応しているグラフはPlot Paneなどで確認できます。

そのため、

コードを書く
↓
REPLで実行する
↓
グラフを確認する
↓
コードを修正する

という開発サイクルをVSCode上で進めやすくなります。

VSCodeでJuliaをデバッグする

ブレークポイントを設定する

Julia拡張機能にはデバッグ機能も用意されています。

たとえば、次のコードがあるとします。

function add(a, b)
    result = a + b
    return result
end

x = add(10, 20)

println(x)

デバッグしたい行の左側にある行番号付近をクリックすると、ブレークポイントを設定できます。

たとえば、

result = a + b

の行にブレークポイントを設定すると、その位置で処理を停止させられます。

デバッグを開始する

VSCodeの「Run and Debug」からデバッグを開始できます。

環境によっては、

F5

でデバッグ実行できます。

プログラムがブレークポイントで停止すると、変数の値や処理の流れを確認できます。

複雑なプログラムの不具合を調査するときに便利です。

REPLからデバッグする

Julia VS Codeでは、REPLからデバッグを開始する方法もあります。

たとえば、

@enter 関数名(引数)

または、

@run 関数名(引数)

のような方法があります。

@enterは関数へ入り、最初の位置から確認したい場合などに使用します。

@runは設定されたブレークポイントまで処理を進めたい場合などに利用できます。

Juliaのプロジェクト環境を利用する

プロジェクトごとに環境を分ける

Juliaで本格的に開発する場合は、すべてのパッケージをデフォルト環境だけで管理するのではなく、プロジェクトごとに環境を分ける方法がおすすめです。

たとえば、次のようなフォルダを作成します。

my-project/
└── main.jl

Julia REPLで、

using Pkg
Pkg.activate(".")

を実行すると、現在のディレクトリをプロジェクト環境としてアクティブ化できます。

その状態で、

Pkg.add("Plots")

などを実行すると、そのプロジェクト用の依存関係としてパッケージを管理できます。

Project.tomlについて

Juliaのプロジェクト環境では、一般的にProject.tomlが使用されます。

Project.tomlには、そのプロジェクトが直接利用するパッケージなどの情報が記録されます。

たとえば、パッケージを追加すると、

my-project/
├── Project.toml
└── main.jl

のような構成になります。

Manifest.tomlについて

環境によっては、

Manifest.toml

も生成されます。

Manifest.tomlには、直接利用するパッケージだけでなく、間接的に利用される依存パッケージや具体的なバージョン情報なども記録されます。

典型的には、

my-project/
├── Project.toml
├── Manifest.toml
└── main.jl

のような構成になります。

ただし、Pkg.activate(".")を実行しただけで、必ずすぐにProject.tomlとManifest.tomlの両方が作成されるわけではありません。

パッケージの追加など、環境へ変更を加えた段階で作成・更新される場合があります。

また、Manifest.tomlは常に必須というわけではありません。

VSCodeから環境を変更する

Julia拡張機能には、

Julia: Change Current Environment

というコマンドがあります。

これを利用すると、VSCodeから使用するJulia環境を変更できます。

そのほか、

Julia: Activate This Environment

や、

Julia: Instantiate Environment

などの環境関連コマンドも利用できます。

複数のJuliaプロジェクトを扱う場合は、現在どの環境が有効になっているのかを確認する習慣をつけるとよいでしょう。

VSCodeでJuliaが動かない場合の対処方法

Julia本体がインストールされているか確認する

まず、Juliaそのものが利用できるか確認します。

VSCodeのターミナルなどで、

julia --version

を実行します。

バージョンが表示されなければ、Julia本体のインストールやPATH設定を確認してください。

Julia拡張機能を確認する

VSCodeの拡張機能画面で、

Julia

を検索します。

公式拡張機能、

julialang.language-julia

がインストールされ、有効になっていることを確認します。

julia.executablePathを確認する

Julia本体はインストールされているものの、VSCodeから認識されない場合は、

julia.executablePath

を確認します。

juliaupなどによりJuliaが正常にPATHへ登録されている場合は、手動設定しなくても利用できるケースが一般的です。

Language Serverを再起動する

コード補完やエラー表示などが正常に動作しない場合は、コマンドパレットから、

Julia: Restart Language Server

を実行すると改善する場合があります。

Language Serverは、コード補完やコード解析などを担当しています。

Julia REPLを再起動する

REPLの動作がおかしい場合は、

Julia: Restart REPL

を実行します。

REPLを終了したい場合は、

Julia: Stop REPL

も利用できます。

VSCodeでJuliaを使うときの基本的な流れ

初心者におすすめの手順

初めてJuliaをVSCodeで利用する場合は、次の順番で覚えると分かりやすいでしょう。

1. Juliaをインストール
↓
2. VSCodeをインストール
↓
3. Julia拡張機能をインストール
↓
4. プロジェクトフォルダを開く
↓
5. .jlファイルを作成
↓
6. Julia: Start REPLを実行
↓
7. コードを書く
↓
8. REPLへコードを送信して実行
↓
9. 必要に応じてファイル全体を実行
↓
10. パッケージやプロジェクト環境を管理
↓
11. 必要に応じてデバッグ

Juliaでは、ファイル全体を毎回最初から実行するだけでなく、REPLへ一部分ずつコードを送りながら動作を確認する開発スタイルがよく利用されます。

VSCodeでJuliaを使うメリット

開発に必要な機能をまとめて利用できる

VSCodeへJulia拡張機能を導入すると、さまざまなJulia開発機能を1つの画面で利用できます。

代表的な機能として、次のものがあります。

  • コード補完
  • Julia REPL
  • コードの部分実行
  • Juliaファイルの実行
  • デバッグ
  • Workspace
  • Documentation
  • Plot Pane
  • Plot Navigator
  • Julia環境の切り替え
  • コードナビゲーション
  • Language Serverによるコード解析

Juliaは、科学技術計算、データ分析、統計処理、数値シミュレーションなど、試行錯誤しながらコードを実行する用途でもよく利用されます。

そのため、エディター、REPL、変数確認、グラフ表示、デバッグをまとめて利用できるVSCodeとの相性は良好です。

VSCodeでJuliaを使う方法のまとめ

VSCodeでJuliaを利用する場合は、Julia本体とVSCodeをインストールし、公式のJulia拡張機能を追加するのが基本です。

最初に覚えておきたいのは、

Julia: Start REPL

です。

JuliaではREPLを使ってコードを対話的に実行することで、効率よくプログラムを作成できます。

慣れてきたら、

コードの部分実行
↓
パッケージ管理
↓
プロジェクト環境
↓
Plot Pane
↓
デバッグ

といった機能も活用するとよいでしょう。

また、Ctrl + F5などによるファイル実行は、統合REPLとは別のJuliaプロセスで実行される場合がある点も覚えておくことが重要です。

プロジェクトごとにJulia環境を分け、Project.tomlや必要に応じてManifest.tomlで依存関係を管理すれば、より再現性の高い開発環境を構築できます。

VSCodeとJuliaの基本的な操作を身につければ、簡単なプログラミングからデータ分析、科学技術計算、本格的なJuliaアプリケーション開発まで、幅広い用途に活用できるでしょう。

以上、VSCodeでJuliaを使うために必要なものについてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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