Visual Studio Code(VSCode)を長期間使用していると、「起動が遅い」「画面の動きが重い」「アップデート後から表示がおかしい」といった症状が発生することがあります。
こうした場合、キャッシュや一時データを削除することで改善することがあります。
ただし、VSCodeが重くなる原因はキャッシュだけではありません。
拡張機能の負荷、大量のファイルを含むフォルダ、CPUやメモリの使用率、GPU関連の問題など、さまざまな原因が考えられます。
そのため、いきなりVSCodeのデータを大量に削除するのではなく、まず原因を切り分け、必要に応じてキャッシュを削除することが大切です。
この記事では、VSCodeが重い場合に確認したいポイントと、安全にキャッシュを削除する方法について詳しく解説します。
VSCodeが重い原因はキャッシュだけではない
キャッシュ削除は万能な高速化方法ではない
VSCodeでは、画面表示や動作を効率化するためにさまざまなデータが保存されています。
これらのデータが破損したり、アップデート後に古い情報が残ったりすると、不具合につながることがあります。
そのため、キャッシュ削除によって症状が改善するケースはあります。
ただし、単純にキャッシュファイルが増えたことだけでVSCodeが重くなるとは限りません。
特に「VSCode全体の動作が遅い」という場合は、キャッシュよりも拡張機能やCPU・メモリ負荷、大量のファイルなどを確認したほうが原因を特定しやすいことがあります。
キャッシュ削除が有効な場合
キャッシュ削除を検討しやすいのは、次のような症状がある場合です。
- VSCodeをアップデートしてから画面表示がおかしくなった
- ウィンドウが真っ白になる
- UIの描画が乱れる
- VSCodeを再起動しても表示トラブルが改善しない
- 特定の一時データが破損している可能性がある
特に画面表示に関するトラブルでは、GPUCacheの削除によって改善する場合があります。
WindowsでVSCodeのキャッシュを削除する方法
VSCodeを完全に終了する
キャッシュを削除する前に、VSCodeを完全に終了します。
VSCodeが起動したままだと、一部のファイルを削除できなかったり、削除中にデータが再作成されたりする可能性があります。
Windowsでは、VSCodeを閉じたあとにタスクマネージャーを開き、「Visual Studio Code」や「Code.exe」が残っていないか確認しておくと安全です。
VSCodeのユーザーデータフォルダを開く
Windows版のVSCodeでは、通常、ユーザーデータが次の場所に保存されています。
%APPDATA%\Code
エクスプローラーのアドレスバーに次の文字列を入力し、Enterキーを押します。
%APPDATA%\Code
一般的には、次のような場所が開きます。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Code
このフォルダの中には、設定や状態情報、キャッシュなど、VSCodeが使用するさまざまなデータが保存されています。
そのため、Codeフォルダ自体を丸ごと削除するのではなく、必要なフォルダだけを対象にすることが重要です。
参考サイト
GPUCacheを削除する方法
GPUCacheとは
VSCodeはElectronをベースにしたアプリケーションで、画面描画にはChromium系の仕組みが使われています。
そのため、GPUを利用した描画に関するキャッシュとして、
GPUCache
というフォルダが作成されることがあります。
GPUCacheに問題が発生すると、
- 画面が真っ白になる
- ウィンドウの描画がおかしい
- アップデート後にUIが正常に表示されない
- 画面表示が不安定になる
といった症状につながる場合があります。
WindowsでGPUCacheを削除する手順
VSCodeを完全に終了してから、次の場所を開きます。
%APPDATA%\Code
その中にある、
GPUCache
フォルダを削除します。
一般的な保存場所は次のとおりです。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Code\GPUCache
削除後にVSCodeを起動すると、必要なデータは再作成されます。
特にアップデート後の画面表示トラブルでは、最初に試しやすい方法です。
CacheやCachedDataを削除する方法
Cacheフォルダを削除する
VSCodeのユーザーデータフォルダには、環境によって、
Cache
というフォルダが存在する場合があります。
Windowsでは、次の場所です。
%APPDATA%\Code\Cache
VSCodeを完全に終了した状態で削除し、再起動します。
CachedDataを削除する
環境によっては、
CachedData
というフォルダも存在します。
一般的な場所は次のとおりです。
%APPDATA%\Code\CachedData
こちらについても、VSCodeを終了してから削除します。
ただし、CacheやCachedDataの削除は、VSCode公式が一般的な高速化方法として積極的に推奨している対処法ではありません。
そのため、単純に「VSCodeが重いから削除する」のではなく、再起動や拡張機能の確認などを試したあとで検討するとよいでしょう。
macOSでVSCodeのキャッシュを削除する方法
VSCodeのユーザーデータフォルダを開く
macOS版のVSCodeでは、通常、ユーザーデータが次の場所に保存されています。
~/Library/Application Support/Code
Finderから開く場合は、「移動」から「フォルダへ移動」を選択し、次のパスを入力します。
~/Library/Application Support/Code
必要なキャッシュだけを削除する
環境によって、次のようなフォルダが存在します。
GPUCache
Cache
CachedData
VSCodeを完全に終了したあと、必要なものだけを削除します。
削除後にVSCodeを再起動して、症状が改善したか確認してください。
LinuxでVSCodeのキャッシュを削除する方法
VSCodeのユーザーデータフォルダを確認する
Linux版VSCodeでは、通常、ユーザーデータが次の場所に保存されています。
~/.config/Code
GPUCacheを削除する場合は、次のようなコマンドを使用できます。
rm -rf ~/.config/Code/GPUCache
Cacheを削除する場合は、次のようになります。
rm -rf ~/.config/Code/Cache
ただし、rm -rfは指定したファイルやフォルダを強制的に削除するコマンドです。
入力したパスを間違えると必要なデータを削除してしまう可能性があるため、実行前に必ずパスを確認してください。
workspaceStorageは安易に削除しない
workspaceStorageとは
VSCodeには、ワークスペースごとの状態情報などを保存する領域があります。
Windowsの場合は、一般的に次の場所です。
%APPDATA%\Code\User\workspaceStorage
macOSでは、
~/Library/Application Support/Code/User/workspaceStorage
Linuxでは、
~/.config/Code/User/workspaceStorage
です。
単純なキャッシュとは異なる
workspaceStorageには、VSCode本体だけでなく、拡張機能がワークスペース単位で保存している情報が含まれることがあります。
そのため、単なる一時キャッシュとして扱うのはおすすめできません。
削除すると、特定のワークスペースに関する状態情報などがリセットされる可能性があります。
特定のプロジェクトだけで不具合が発生し、ほかの方法では改善しない場合などに、バックアップを取ったうえで検討するのが安全です。
Codeフォルダ全体は削除しない
Codeフォルダには設定なども保存されている
Windowsでは、
%APPDATA%\Code
にVSCodeのさまざまなユーザーデータが保存されています。
たとえば、ユーザー設定は通常、
%APPDATA%\Code\User\settings.json
に保存されています。
そのため、
%APPDATA%\Code
フォルダ自体を丸ごと削除すると、キャッシュだけでなく、設定やプロファイルなどにも影響する可能性があります。
単純なキャッシュ削除を目的としている場合は、Codeフォルダ全体を削除しないようにしましょう。
初期化したい場合はバックアップを取る
どうしてもVSCodeを初期状態に近づけたい場合は、設定や拡張機能などを確認し、必要なデータをバックアップしてから実施することが重要です。
「動作が重い」という理由だけで、最初からユーザーデータ全体を削除する必要はありません。
.vscodeフォルダの削除にも注意する
ユーザーフォルダの.vscode
Windowsでは、次のようなフォルダがあります。
%USERPROFILE%\.vscode
通常、インストールした拡張機能は、
%USERPROFILE%\.vscode\extensions
などに保存されています。
そのため、ユーザーフォルダにある.vscodeを丸ごと削除すると、インストール済みの拡張機能などに影響する可能性があります。
プロジェクト内の.vscode
一方、プロジェクトフォルダの中にも、
.vscode
というフォルダが存在する場合があります。
こちらには、たとえば次のようなファイルが保存されます。
settings.json
launch.json
tasks.json
extensions.json
これらはワークスペース設定やデバッグ設定、タスク設定などに使用されるファイルです。
プロジェクト内の.vscodeはキャッシュではないため、重いからといって削除しないようにしましょう。
キャッシュを削除する前に拡張機能を確認する
拡張機能がVSCodeを重くしていることがある
VSCodeが重い場合、原因として特に確認したいのが拡張機能です。
高機能な拡張機能は、バックグラウンドでコード解析やファイル監視などを行うことがあります。
たとえば、
- PHP
- Python
- Java
- TypeScript
- ESLint
- Git関連
- Docker
- AIコード補完
- Remote Development
などの拡張機能を多数使用している場合は、CPUやメモリの負荷が高くなる可能性があります。
Extension Bisectを使って原因を特定する
VSCodeには、問題を起こしている拡張機能を効率的に特定するための「Extension Bisect」という機能があります。
コマンドパレットを開きます。
Ctrl + Shift + P
続いて、
Help: Start Extension Bisect
を実行します。
Extension Bisectでは、インストールされている拡張機能を段階的に無効化しながら、問題の原因となっている拡張機能を絞り込めます。
一つずつ手動で無効化するよりも、効率的に原因を探せます。
code –statusでVSCodeの状態を確認する
プロセスの状態を確認できる
VSCodeには、現在のプロセスやリソース使用状況を確認するためのコマンドがあります。
ターミナルなどから、次のコマンドを実行します。
code --status
VSCode関連のプロセス状況などが表示されるため、どの処理が負荷をかけているのかを調査する際に役立ちます。
起動が遅い場合はcode –performanceも利用できる
VSCodeの起動に時間がかかる場合は、
code --performance
を使用してパフォーマンスを調査する方法もあります。
キャッシュを削除する前に原因を確認したい場合に便利です。
大量のファイルを含むフォルダを確認する
大規模なフォルダは負荷の原因になる
VSCodeで非常に多くのファイルを含むフォルダを開いていると、ファイル検索や監視などによってCPU使用率が高くなることがあります。
Web開発では、たとえば次のようなフォルダに大量のファイルが含まれる場合があります。
node_modules
vendor
dist
build
logs
ただし、これらを必ず除外しなければならないわけではありません。
実際に大量のファイルが原因になっている場合に、不要なフォルダを検索対象などから除外することを検討します。
files.excludeを利用する
検索やエクスプローラー上で不要なフォルダを除外する場合は、files.excludeを利用できます。
たとえば、
"files.exclude": {
"**/largeFolder": true
}
のように設定します。
ただし、必要なファイルまで除外しないように注意してください。
GPU関連の問題を切り分ける
GPUアクセラレーションを無効にして起動する
画面表示が重い、描画がおかしいといった症状がある場合は、GPUアクセラレーションが関係している可能性があります。
切り分ける場合は、次のコマンドでVSCodeを起動できます。
code --disable-gpu
この状態で正常に動作する場合は、GPUやグラフィックドライバー、ハードウェアアクセラレーション周辺に問題がある可能性があります。
この場合は、単純なキャッシュ削除だけでなく、GPUCacheの削除やグラフィックドライバーの確認なども検討します。
PCのCPU・メモリ使用率も確認する
VSCode以外が原因の場合もある
VSCode自体に問題がなくても、PC全体のリソースが不足していると動作が重く感じられます。
Windowsではタスクマネージャーを開き、
- CPU使用率
- メモリ使用率
- ディスク使用率
などを確認してください。
たとえば、
- ブラウザで大量のタブを開いている
- Dockerを動かしている
- ローカル開発サーバーを複数起動している
- 仮想マシンを使用している
- 重いソフトウェアを同時に実行している
といった場合は、VSCode以外のアプリケーションが原因でPC全体が重くなっている可能性があります。
VSCodeが重い場合に試すおすすめの順番
まず原因を切り分ける
VSCodeが重い場合は、いきなりキャッシュを削除するよりも、次のような順番で確認すると安全です。
- VSCodeを再起動する
- PCのCPU・メモリ使用率を確認する
- 不要な拡張機能を無効化する
- Extension Bisectで問題の拡張機能を特定する
- 大量のファイルを含むフォルダを確認する
code --statusでプロセス状況を確認する- 描画トラブルなら
code --disable-gpuを試す - 必要に応じて
GPUCacheを削除する - 改善しない場合に
CacheやCachedDataの削除を検討する
この順番で確認すれば、必要な設定やデータを不用意に削除するリスクを減らせます。
ユーザーデータ全体の削除は最後の手段
次のようなフォルダを丸ごと削除する方法は、通常のキャッシュ削除とは意味が異なります。
%APPDATA%\Code
%USERPROFILE%\.vscode
設定や拡張機能などに影響する可能性があるため、単純にVSCodeを軽くしたい場合にはおすすめできません。
どうしても初期化する必要がある場合に限り、バックアップを取ってから行いましょう。
まとめ
VSCodeが重い場合、キャッシュを削除することで改善することがあります。
特に、アップデート後に画面が真っ白になったり、描画がおかしくなったりした場合は、
GPUCache
の削除を試す価値があります。
Windowsの場合は、
%APPDATA%\Code
を開き、VSCodeを完全に終了した状態で対象のキャッシュフォルダを削除します。
ただし、VSCodeが重くなる原因はキャッシュだけではありません。
拡張機能、大量のファイル、CPUやメモリ不足、GPUアクセラレーションなどが原因になっている場合もあります。
そのため、まずは再起動や拡張機能の確認、code --statusなどによる原因調査を行い、そのうえで必要に応じてキャッシュ削除を試すのがおすすめです。
また、%APPDATA%\Codeや.vscodeフォルダ全体の削除は、単なるキャッシュクリアではなく設定や拡張機能のリセットにつながる可能性があります。
安全に対処するためにも、影響範囲の小さい方法から順番に試すことが大切です。
以上、VSCodeが重いときにキャッシュを削除する方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。









