Kotlin Notebook は、Kotlinコードを セル単位で対話的に実行 しながら、コード・実行結果・Markdownによる説明文を 1つのノートブックファイルにまとめられる開発・分析環境 です。
PythonのJupyter Notebookと同様の操作感を持ちつつ、Kotlinの 静的型付け・JVMエコシステム・IDE統合 といった強みを活かせる点が大きな特徴です。
この仕組みは JetBrains が中心となって開発・提供しており、IntelliJ IDEAと非常に高いレベルで統合されています。
Kotlin Notebookの技術的な位置づけ
Kotlin Notebookは独自フォーマットの仕組みではなく、Jupyter Notebookの共通フォーマット(.ipynb)を採用しています。
そのため、以下のような特徴があります。
- ノートブックファイルは
.ipynb - 内部的には Kotlin Kernel(Jupyter用Kotlinカーネル) を基盤としている
- IntelliJ IDEA、Jupyter系ツール、JetBrains Dataloreなどと互換性がある
つまり Kotlin Notebookは、「Kotlin専用に最適化された、Jupyter互換ノートブック環境」と理解するのが最も正確です。
実行環境とIDE統合
IntelliJ IDEAとの関係
Kotlin Notebookは IntelliJ IDEA 上で利用することを前提に設計されています。
- 提供形態:Kotlin Notebookプラグイン
- 現行バージョンでは 標準で同梱・有効化済み
- Community / Ultimate のどちらでも利用可能
IntelliJ IDEA上では、通常のKotlinコード補完、エラー検出、リファクタリング支援などが Notebook環境でもそのまま機能 します。
この「IDE品質の支援をNotebookで使える」点は、Python系Notebookとの差別化ポイントです。
基本的な使い方の特徴
セル実行
- セル単位でKotlinコードを実行
- 前のセルの変数や関数を引き継いで利用可能
- 試行錯誤や段階的な検証に向いている
Markdown併用
- Markdownセルで解説・メモ・数式を記述
- 「なぜこのコードを書くのか」を残せる
- 学習資料・社内ドキュメント化に向く
結果の可視化
- 表形式データの整形表示
- グラフ・チャート描画
- ログや中間結果の即時確認
ライブラリ管理と依存関係
Kotlin Notebookでは、通常のGradleプロジェクトとは異なる形で依存関係を扱います。
統合ライブラリ(%use)
%useコマンドで簡単に導入可能- Kotlin Notebook向けに事前設定されたライブラリ群
- 可視化・データ分析系が中心
Maven座標による追加
- 任意のKotlin / Javaライブラリを追加可能
- JVMエコシステムをそのまま利用できる
- 既存のJava資産とも共存しやすい
データ分析・可視化との相性
Kotlin Notebookは データ分析用途を公式に想定 しています。
特に導線が整備されているのは以下の構成です。
- kotlinx-dataframe
→ 表形式データの加工・集計・変換をKotlinらしい記法で扱える - Kandy / Lets-Plot
→ Notebook上での可視化を前提に設計されたライブラリ
これらは公式ドキュメント・チュートリアルが充実しており、「Kotlin Notebookでまず使うならここから」という位置づけです。
Jupyter Notebook(Python)との違い
| 観点 | Kotlin Notebook | Jupyter Notebook |
|---|---|---|
| 主言語 | Kotlin | Python |
| 型 | 静的型付け | 動的型付け |
| IDE支援 | IntelliJと完全統合 | 限定的 |
| JVM連携 | 非常に強い | 弱い |
| 共有形式 | .ipynb | .ipynb |
Kotlin Notebookは Jupyterの代替 というより、「Kotlin/JVM圏のためのNotebook実装」 と捉える方が現実的です。
向いている用途・向いていない用途
向いているケース
- Kotlin学習・教育資料の作成
- アルゴリズムやロジックの検証
- 社内データの簡易分析
- Java/Kotlin資産を活かしたPoC
- 技術ブログ・ナレッジ共有資料
注意が必要なケース
- 大規模な機械学習(Pythonエコシステムが有利)
- 本番アプリケーションの実行環境
- 非技術者向けの完全GUI分析ツール
まとめ
- Kotlin Notebookは Jupyter互換(
.ipynb)のKotlin向けNotebook環境 - IntelliJ IDEAと深く統合されている点が最大の特徴
- データ分析・学習・PoC用途に強い
- JVMエコシステムをそのまま活用できる
- Python Notebookの完全代替ではなく「別の最適解」
以上、Kotlin Notebookについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。









