KotlinはAndroid開発のイメージが強い言語ですが、現在ではサーバーサイドWebアプリケーションの分野でも広く使われています。
Javaとの高い互換性を持ちつつ、より安全で簡潔な記述ができるため、既存のJava資産を活かしながらモダンなWeb開発を行える点が大きな魅力です。
本記事では、Kotlinを使ってWebアプリを開発する方法について、フレームワーク選定・構成・実装・運用までを俯瞰的に解説します。
KotlinでWebアプリを作る主な選択肢
KotlinでWebアプリを作る場合、大きく分けて以下の3つの方向性があります。
Kotlin + Spring Boot(最も一般的)
- 企業システムや業務アプリでの採用例が多い
- エコシステムが非常に充実している
- セキュリティ、DB連携、バッチ、監視などが標準的に揃っている
Spring Bootは機能が多いため「難しい」と感じられがちですが、実際には使う機能を限定すれば初学者でも問題なく導入可能です。
将来的な拡張やチーム開発を考える場合、最も無難な選択肢と言えます。
Kotlin + Ktor(軽量・シンプル)
- JetBrains公式のKotlin向けWebフレームワーク
- 必要な機能だけを選んで構成できる
- 小〜中規模のAPIやマイクロサービスに向いている
Springに比べて設定や概念が少なく、Kotlinらしい書き味で実装できます。
ただし、認証やDI、マイグレーションなどは自分で選定・構築する必要があります。
Kotlinでフロントエンドも書く(Kotlin/JSなど)
- Kotlin/JSやCompose for Webを使ってUIを構築
- ロジック共有などのメリットはある
ただし現実的には、フロントエンドの主流はTypeScript + React/Vueであり、情報量・人材・周辺ライブラリの厚みはそちらが圧倒的です。
Kotlin/JSは「選択肢として可能」ではありますが、万人向けではありません。
Webアプリ全体の基本構成
Kotlinで作るWebアプリも、一般的なWebアプリと構成は同じです。
- HTTPリクエストを受け取るWebサーバー
- ビジネスロジックを処理するアプリケーション層
- データを永続化するデータベース
- 認証・認可の仕組み
- 本番環境へのデプロイ・運用
最初からすべてを完璧に作る必要はありません。
まずはAPIが1つ動く状態を作ることが重要です。
開発の基本的な流れ
要件を最小限にする
最初は以下のような単純なCRUDで十分です。
- どんなデータを扱うか
- 一覧・詳細・作成・更新・削除が必要か
- ログインが必要かどうか
API設計を行う
REST形式で設計するのが一般的です。
- GET:一覧・詳細取得
- POST:作成
- PUT/PATCH:更新
- DELETE:削除
レイヤ構造を意識して実装する
典型的な構成は以下です。
- Controller:HTTPリクエスト・レスポンスを扱う
- Service:業務ロジックやバリデーション
- Repository:DBアクセス
- Model/Entity:データ構造
これはあくまで一例であり、規模や設計思想(DDDなど)によって最適解は変わります。
データベース連携の選択肢
KotlinでDBを扱う方法はいくつかあります。
- Spring Data JPA
→ 学習コストが低く、CRUD中心のアプリでは十分実用的 - jOOQ
→ SQLを重視し、型安全性とパフォーマンスを両立 - Exposed
→ KotlinらしいDSLで書けるが、組織によって採用可否が分かれる
Spring Bootを使う場合は JPAまたはjOOQ、Ktorなら ExposedやjOOQ が選ばれることが多いです。
認証方式の考え方
セッション認証
- ブラウザ中心のアプリに向いている
- 実装が比較的シンプル
- ログアウトや強制失効が容易
JWT認証
- SPAやモバイルアプリ向け
- ステートレスでスケールしやすい
- 保存方法(localStorageなど)を誤るとXSSのリスクが高まる
「JWTの方がモダン」という理由だけで選ぶのは危険です。
管理画面や社内ツールならセッション認証の方が安全で簡単なケースも多くあります。
フロントエンドとの関係
サーバーサイドレンダリング
- Spring MVC + テンプレートエンジン
- 管理画面や簡易Webアプリに向いている
SPA分離構成
- フロント:React/Vue/Next.js
- バックエンド:Kotlin API
- 拡張性・分業に強い
SEOやマーケティングを意識する場合は、SSR/SSG対応のフロントエンド + Kotlin APIという構成も一般的です。
開発・運用面の現実的なポイント
- ローカル開発ではDockerでDBを立てる
- 環境変数で設定を切り替える
- テストはService層から始める
- CIでテストとビルドを自動化する
デプロイ先は最初から複雑にする必要はなく、Dockerで動かせる形を作ることが最優先です。
初心者〜実務向けのおすすめ構成
安定重視(実務向け)
- Kotlin + Spring Boot
- PostgreSQL
- セッション認証
- REST API
- Dockerデプロイ
学習・試作向け
- Kotlin + Ktor
- シンプルなDB構成
- 認証なしからスタート
SQLiteからPostgreSQLへ移行する場合、SQL方言や型の違いで差分が出ることがあるため、最初からPostgreSQL(Docker)を使う選択肢も十分現実的です。
まとめ
- KotlinはWebアプリ開発に十分実用的
- Spring Bootは安定性と拡張性が高い
- Ktorは軽量で学習向き
- 認証方式やフロント構成は目的に応じて選ぶ
- 最初は「動く最小構成」を作ることが重要
以上、KotlinでWebアプリを作る方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










