SESとは System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス) の略称で、エンジニアのスキルを活用し、顧客のITプロジェクトに対して業務支援を行うサービス形態を指します。
主にソフトウェア開発、システム運用、インフラ構築・保守、PMO支援など、IT領域における各種業務を対象とした 役務提供型のビジネスです。
SES事業の「業種」の考え方
SESは法律や行政上で定義された単独の業種名称ではありません。
そのため、実務上は 複数の観点から業種を説明するのが一般的です。
サービス内容の観点
提供している価値はIT業務そのものであるため、SES事業は通常、次のように分類・説明されます。
- ITサービス業
- 情報サービス業
- システム開発・運用支援事業
- エンジニアリングサービス事業
この点において、SESは IT業界に属するサービス業と位置づけられます。
契約形態から見たSESの位置づけ
SES事業の多くは、準委任契約(業務委託) の形態で提供されます。
準委任契約の特徴
- 成果物の完成を保証する契約ではなく
- 業務の遂行そのもの(役務・稼働・専門性の提供)を契約対象とする
このため、SESは「システム開発を請け負う請負契約」とは異なり、業務支援・技術支援を主軸としたサービス形態とされています。
SESと受託開発・派遣との違い
受託開発(請負契約)との違い
- 受託開発:成果物の完成責任を負う
- SES(準委任):業務遂行そのものを提供する
SESは「完成物を納品するビジネス」ではなく、開発・運用プロセスへの参画支援という位置づけになります。
労働者派遣との違い
SESはしばしば人材派遣と混同されますが、契約上は別の枠組みです。
- 労働者派遣
- 派遣先企業が労務管理上の指揮命令を行う
- 労働者派遣事業の許可が必要
- SES(準委任)
- 労務管理上の指揮命令は受任者(受託側)が行う
- 発注側は業務内容の依頼、調整、レビュー等を行う
このように、SESは 労働力の提供ではなく、業務(役務)の提供として整理されます。
実態運用における注意点
SESでは、契約上は準委任であっても、現場運用が派遣に近い形になると、労働者派遣法上の問題(いわゆる偽装請負等)が生じる可能性があります。
そのため、SES事業においては、
- 労務管理の主体を明確にすること
- 業務指示と労務指揮命令を区別すること
- 契約内容と現場運用を一致させること
が重要とされています。
SES事業で提供される主なサービス領域
SES事業がカバーするIT業務は多岐にわたります。
- Web/アプリケーション開発支援
- システム設計・実装・テスト支援
- インフラ・クラウド設計/構築/運用
- 運用保守、監視、障害対応支援
- PMO、プロジェクト管理支援
いずれも ITプロジェクトにおける専門的業務を役務として提供する点が共通しています。
SES事業の業種を一言で表現する場合
対外的な説明としては、以下のような表現が一般的で、誤解も生じにくいとされています。
- ITサービス業(SES/システム開発・運用支援)
- 情報サービス業(エンジニアリングサービス)
- システム開発・運用支援事業(SES・準委任)
「SES」という言葉だけでなく、ITサービスであることを主語にした表現を用いるのが実務上は有効です。
まとめ
SES事業は、
- IT業界に属する サービス業(情報サービス・ITサービス)であり
- 契約形態としては 準委任による役務提供が中心
- 人材派遣とは異なる枠組みで IT業務支援を行うビジネス
として位置づけられます。
以上、SESの事業の業種についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。









