「40代になると転職先はSESしか残っていない」IT業界を中心に、こうした声を耳にすることは少なくありません。
しかし、この認識は半分は事実で、半分は誤解です。
結論から言えば、40代の転職が“SESしかない”という状況は一般論としては成立しません。
一方で、転職活動の進め方や経歴の整理を誤ると、「結果的にSESしか選択肢が残らないように見える」ケースが多いのも事実です。
本記事では、40代転職市場の実態と、「SESしかない」と感じやすくなる構造を冷静に分解し、現実的な選択肢を整理します。
40代の転職市場は本当に厳しいのか
まず前提として、40代の転職自体が珍しいものではなくなっていることは、複数の調査データから確認できます。
- マイナビの調査では、2024年の正社員転職率は7.2%と高水準で、40〜50代の転職率が増加傾向にあると報告されています。
- doda(パーソルキャリア)の調査でも、転職成功者に占める40歳以上の割合が年々上昇しており、40代以降の転職が一定数成立していることが分かります。
ただし、ここで注意すべき点があります。
これらのデータは「転職した人がいる」ことを示しているだけであり、誰でも簡単に転職できることを意味するものではありません。
40代の転職市場は、
- 職種
- 業界
- 経験の専門性
- 年収レンジ
によって難易度が大きく分かれます。
「転職できる人はできるが、準備不足だと一気に厳しくなる」というのが実情です。
なぜ「40代=SESしかない」と感じやすくなるのか
では、なぜ40代になると「SESしかない」という印象を持ちやすくなるのでしょうか。
ここにはいくつかの構造的な理由があります。
40代は“ポテンシャル採用”がほぼ消える
20〜30代では、「今は未完成だが、将来に期待する」という採用が一定数存在します。
一方、40代に企業が期待するのは基本的に即戦力と再現性です。
- これまで何をしてきたのか
- その経験を次の会社でも再現できるのか
- 組織にどう貢献できるのか
この説明が弱いと、書類選考や面接で弾かれやすくなります。
経歴が広すぎると「専門性が見えない」
40代になると経験が増えますが、それが逆効果になる場合もあります。
- 開発もやった
- インフラも触った
- 運用も管理もやった
このような経歴は一見強そうですが、採用側から見ると「結局、何のプロなのか分からない」と判断されることがあります。
結果として、職種を限定して採用する企業から外れ、間口の広いSES求人だけが残るという現象が起きやすくなります。
SES求人は“露出が多く、声がかかりやすい”
SES(システムエンジニアリングサービス)は、日本のIT業界で広く使われているビジネスモデルです。
実務上は、準委任契約・派遣契約などが混在して「SES」と呼ばれることも多く、求人の絶対数が多い傾向があります。
そのため転職活動を始めると、
- スカウトメールが大量に届く
- 応募後の反応が早い
といった体験をしやすく、「他は無理で、SESだけが現実的なのでは」と感じやすくなります。
※ただし、SESの採用ハードルが必ず低いと断定できる統計はありません。あくまで体感としてそう感じる人が多い、というレベルの話です。
40代の転職先はSES以外にも存在する
40代が狙える転職先は、SES以外にも現実的に存在します。
代表的なものを整理します。
社内SE(事業会社)
- 情報システム部門
- IT統制、SaaS運用、ベンダーコントロール
現場経験が長い40代は、調整力や安定運用の経験が評価されやすい分野です。
SIer・受託開発の上流ポジション
- プロジェクトマネージャー
- プロジェクトリーダー
技術力だけでなく、「案件を完遂させた経験」「炎上対応」「顧客折衝」が武器になります。
自社プロダクト企業
ハードルは高めですが、
- 技術選定
- 設計思想
- 開発プロセス改善
など、経験を言語化できる人は40代でも採用される余地があります。
コンサル・DX推進系
業界知識(製造・物流・金融など)が強い場合、IT×業務の文脈で評価されるケースがあります。
SESは「避けるべき選択肢」なのか?
ここは誤解されやすいポイントですが、SES=悪ではありません。
問題は、
- どの会社か
- どの案件か
- キャリアの出口があるか
です。
特に40代の場合、以下が不透明なSES企業はリスクが高くなります。
- 単価や評価基準が説明されない
- 本人の希望がほぼ反映されないアサイン
- 待機時の扱いが不明確
- 「常駐し続けて終わり」のモデル
逆に、上流案件や社内受託へのステップが用意されているSES企業であれば、キャリアの一段階として成立するケースもあります。
40代転職で最も重要なのは「見せ方」
40代の転職では、スキルそのものよりも職務経歴の設計で落ちるケースが非常に多いです。
- 何をやったか
ではなく - 何を課題として捉え、どう解決したか
を中心に整理する必要があります。
また、「全部できます」ではなく、
- この会社ではこの役割を担える
という翻訳作業が不可欠です。
まとめ
- 「40代の転職はSESしかない」という一般論は誤り
- ただし、準備不足だと結果的にSESしか残らないように見えることは起こりやすい
- SESは選び方次第でキャリアの分岐点にも、袋小路にもなる
- 40代転職の成否は、スキル以上に「経歴の整理と伝え方」で決まる
以上、40代の転職はSESしかないというのは本当なのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










