SES(システムエンジニアリングサービス)について語られる「単価はいくらか」「単価の何割が給料になるのか」は、数字だけが一人歩きしやすく、誤解が起きやすいテーマです。
ここでは
- 一般的に語られている相場
- どこまでが妥当で、どこからが誤解になりやすいか
- 実務上どう捉えるべきか
を断定しすぎない形で整理します。
SESにおける「単価」の正しい位置づけ
SESの「単価」とは、
エンジニア1人が1か月稼働することに対して、
クライアントがSES会社へ支払う請求金額(1人月単価)
を指します。
重要なのは、単価=給料ではないという点です。
単価はあくまで「会社側の売上の入口」であり、そこから以下が差し引かれます。
- エンジニア本人の給与原資
- 社会保険の会社負担分
- 営業・管理部門の人件費
- 待機期間のリスク対応
- オフィス・システム等の間接コスト
- 会社の利益
そのため、単価が高くても、そのまま給料が高くなるとは限りません。
SESの単価相場(現実的なレンジ)
一般的に語られるSESの単価相場は、月60万〜120万円程度です。
ただし、これは「よく見かける中心帯」であって、実際には以下のような幅があります。
単価が低めになりやすいケース
- テスト、運用、監視など下流工程中心
- 実務経験が浅い
- 商流が深い(二次請け・三次請け)
→ 50万台〜60万台
単価が上がりやすいケース
- 設計・要件定義など上流工程
- 特定分野での実務経験が豊富
- リード・調整役を任される
→ 80万〜100万台
上位帯
- 高度専門領域
- プライム案件、責任範囲が広い
→ 120万超
つまり、
「60〜120万」は平均的な話であり、
実際には50万台も普通にあり、上は120万を超えることもある
という理解が最も現実に近いです。
「単価に対して給料は何割か?」という問いの正体
ここでよく出てくるのが「還元率」という言葉です。
よく語られる還元率の目安
- 一般的なSES企業:50〜60%前後
- 比較的高めとされる水準:60〜70%
- 「高還元SES」と呼ばれるゾーン:70%超
- トップクラス:80%前後
この数字自体は、業界でよく語られるレンジから大きく外れていません。
しかし、ここに最大の落とし穴があります。
還元率は「定義が統一されていない」
還元率は、業界全体で統一された計算ルールが存在しません。
そのため、同じ「還元率70%」でも、会社によって中身が違います。
還元率に含まれる可能性があるもの
- 給与(額面)のみ
- 給与+各種手当
- 賞与原資
- 交通費
- 社会保険の会社負担分
つまり、
還元率が高く見えても、
実際に毎月支給される給与が高いとは限らない
という構造になっています。
この点を理解せずに「還元率◯%だから好条件」と判断するのは危険です。
単価と給料の関係を正しく表現すると
最も誤解が少ない表現は、次の形です。
単価 × 還元率 ≒ 給与原資(会社が人件費として使える枠)
例として、単価80万円の場合:
- 還元率50% → 給与原資 約40万円
- 還元率60% → 給与原資 約48万円
- 還元率70% → 給与原資 約56万円
ただしこれは「原資」であり、
- 月給にどれくらい回すか
- 賞与に回すか
- 手当として分けるか
は会社の制度次第です。
また、ここから
- 税金
- 社会保険料(本人負担分)
が差し引かれ、最終的な手取り額が決まります。
商流(請負構造)が単価に与える影響
SESでは、元請け → 二次請け → 三次請け…という商流構造が存在することがあります。
商流が深くなるほど、
- 各段階でマージンが差し引かれる
- 同じエンジニアでも最終単価が伸びにくい
という傾向があります。
そのため、「単価が低い=スキルが低い」とは限らず、商流の問題であるケースも少なくありません。
実務上、必ず確認すべきポイント
数字に振り回されないために、最低限ここは確認すべきです。
単価は開示されるか
- 開示される会社は構造が透明
- 開示されない=悪ではないが、比較は難しい
還元率の内訳
- 還元率は「何を含んだ割合」なのか
- 給与だけか、手当・賞与・社保会社負担込みか
待機期間の扱い
- 待機中の給与は満額か
- 何か月まで保証されるか
この3点を押さえるだけで、「条件が良さそうに見える会社」と「実際に安定して稼げる会社」をかなり見分けられます。
まとめ
- SESの単価相場は 50万台〜120万超まで幅がある
- よく語られる中心帯は 60万〜120万
- 還元率の数字自体は 50〜70%が一般的な文脈
- ただし、還元率は定義が統一されていないため、数字だけで判断してはいけない
- 実際に見るべきなのは
「単価」「還元率の中身」「給与設計」「待機時の扱い」
以上、SESの単価相場と給料の割合についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










