SES(システムエンジニアリングサービス)での退職は、一般的な会社員よりも心理的ハードルが高くなりがちです。
理由は明確で、「自社」と「客先」という二重構造の中で働くため、退職が個人の意思決定として扱われにくいからです。
しかし、退職は本来「個人の権利」であり、正しい知識と伝え方を押さえれば、SESでも過度に揉める必要はありません。
本記事では、
- 法律上の原則
- SES特有の実務事情
- 引き止めにくい伝え方
- トラブルを避ける立ち回り
を踏まえ、「もっとも安全で現実的な退職の進め方」を解説します。
なぜSESの退職は言い出しにくいのか
まず理解しておくべきなのは、SESで退職が難しく感じられるのは、あなたの問題ではないという点です。
SES特有の構造的要因
- 雇用主は自社、業務場所は客先という二重構造
- 案件=契約=売上と直結している
- プロジェクト途中の退職が「迷惑」という空気を作られやすい
- 「今辞められると困る」という感情論が前面に出やすい
その結果、
- 退職=無責任
- 退職=裏切り
のような誤った認識を刷り込まれがちです。
しかし実際には、要員調整や契約調整は会社の役割であり、社員が人生設計まで背負う義務はありません。
退職のタイミング|法律と実務の正しい整理
法律上の原則
期間の定めがない雇用契約(いわゆる正社員・無期雇用)の場合、退職の意思表示から2週間で雇用契約は終了するのが原則です。(民法627条)
実務上の注意点
一方で、多くのSES企業では就業規則に
- 「退職は1か月前までに申し出ること」
- 「2か月前までに届け出ること」
といった規定があります。
これらは、
- 内容が合理的な範囲(一般的に1〜2か月程度)であれば、実務上は尊重されるケースが多いのが現実です。
実務的にもっとも安全な判断
法律上は2週間が原則だが、
SESでは就業規則と案件事情を考慮し、
退職希望日の1.5〜2か月前に伝えるのが最もトラブルになりにくい。
退職を伝える順番|これは絶対に間違えない
SESの退職で最も重要なのが「順番」です。
正しい順序
- 自社の上司・営業担当に伝える
- 会社側が調整した後に、現場へ共有
避けるべき行動
- 先に客先へ相談する
- 現場メンバーに先に話す
SESでは、雇用主はあくまで自社です。
現場への説明や契約調整は、会社が行うべき業務であり、個人が先走るとトラブルの原因になります。
退職理由の考え方|本音はすべて話さなくていい
退職理由で重要なのは、
- 正直さよりも
- 一貫性と引き止めにくさ
です。
無難で実務的な理由
- キャリアの方向性を見直したい
- 技術領域や働き方を変えたい
- 自社開発や別の形態に挑戦したい
- 生活環境・家庭事情の変化
これらは深掘りされにくく、交渉材料にもされにくい理由です。
避けたほうがよい理由
- 現場や会社への不満
- 給与や評価への不満
- SESそのものへの否定
事実であっても、条件提示や感情論による引き止めに発展しやすくなります。
退職願と退職届の扱い
一般的な実務では、
- 退職願:お願い(撤回を前提に扱われることがある)
- 退職届:確定した意思表示
と運用されることが多いです。
引き止めが強い会社ほど、「願」として処理され、話が長引く傾向があります。
揉めそうな場合は、「退職届として提出します」と明確にする方が安全です。
よくあるトラブルと対処法
退職日を先延ばしにされる
- 日付を明確に伝える(〇月末退職)
- 口頭だけでなく、メール等で記録を残す
現場対応を押し付けられる
- 「現場調整は会社側でお願いします」と明言
- 自分が説明役を背負わない
態度が急変する
- 感情的にならず、業務は淡々とこなす
- 評価を気にしすぎない
退職までの立ち回り|円滑に終えるために
- 引き継ぎ資料を早めに用意
- 質問対応の時間を確保
- 不満や批判は言い残さない
- 転職活動の話題は社内で出さない
円満退職とは、好かれることではなく、問題を残さないことです。
最後に|SESの退職に悩んでいる人へ
SESでは、
- 「今辞めたら迷惑」
- 「君がいないと回らない」
と言われることがあります。
短期的な調整は発生しますが、
- それを処理するのが会社の役割であり
- 個人が背負うべき責任ではありません
退職は逃げではなく、自分のキャリアを自分で選び直す行為です。
以上、SESの退職の伝え方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










