SES営業(システムエンジニアリングサービスの営業)は、IT業界の中でも「きつい」「精神的にしんどい」と言われやすい職種のひとつです。
ただし、この評価は単なる感情論ではなく、仕事の構造そのものに理由があるのが特徴です。
一方で、すべての人にとって過酷な仕事というわけではなく、向き・不向きがはっきり分かれる職種でもあります。
ここでは、SES営業が辛いと言われる理由を、制度・契約・業務構造の観点から整理します。
そもそもSES営業とはどんな仕事か
SES営業とは、ITエンジニアの技術力を、企業に対して提供・調整する法人営業です。
一般的な業務内容は以下のようなものになります。
- クライアント企業からの案件・要件ヒアリング
- エンジニア(自社・協力会社)のスキルや条件整理
- 常駐案件の提案、面談調整
- 契約更新や条件(単価・期間など)の交渉
- 稼働後のフォロー、トラブル対応
なお、SESは「派遣」と混同されがちですが、業界では業務委託(準委任)として説明されるケースが多いのが一般的です。
ただし実務上は、会社や案件によって契約形態が異なり、現場用語として広く“SES”と呼ばれている点には注意が必要です。
SES営業が「辛い」と言われる主な理由
クライアントとエンジニアの板挟みになりやすい
SES営業の最も大きな特徴は、常に二方向から要望を受ける立場にあることです。
- クライアント側
- 単価を抑えたい
- スキルや即戦力を求めたい
- 急な案件終了や条件変更
- エンジニア側
- 労働環境への不満
- 条件や役割の違和感
- 現場変更の希望
これらの調整・説明・折衝を、基本的に営業が一手に引き受ける構造になっています。
どちらかを優先すると、もう一方に不満が出やすいため、精神的な負荷が溜まりやすい仕事です。
商材が「人」であるため、完全なコントロールができない
SES営業が扱うのは、モノやシステムではな*人(エンジニア)です。
- 体調やメンタルの変化
- 人間関係や現場との相性
- スキル習得のスピード
- モチベーションの上下
これらは営業努力だけで完全に管理できるものではありません。
それでも、問題が起きた際の一次対応や説明責任は営業に集中しやすく、コントロールできない要素に対して責任を負う感覚が、辛さにつながります。
稼働率・単価など、数字でのプレッシャーが常にある
SES営業は、以下のような指標で評価されることが多いです。
- エンジニアの稼働率
- 案件単価
- 粗利や利益率
特に、正社員を固定給で抱える会社では、エンジニアが待機になると売上が立たない一方、人件費は発生します。
そのため、
- 「早く次の案件を見つける必要がある」
- 「営業の責任として見られやすい」
というプレッシャーが生じやすく、これが精神的な負担になります。
ただし、待機時の扱いは会社の雇用形態・規定によって差がある点は補足しておくべきでしょう。
会社によっては古い営業文化が残っている
SES業界は歴史が長く、企業によっては
- 根性論中心の評価
- 長時間労働を前提とした働き方
- 電話・人脈依存の営業スタイル
が残っている場合もあります。
特に中小企業では、仕組みより個人の負荷に頼る運営になっているケースもあり、会社選びによって体感する辛さに大きな差が出ます。
「問題が起きない状態」が評価されにくい
SES営業の仕事は、本質的には
- トラブルを未然に防ぐ
- 関係性を維持する
- 静かに回し続ける
ことが重要です。
しかし、
- 何も起きなければ評価されにくい
- 問題が起きた時だけ責任を問われやすい
という構造があり、達成感を得にくい点も辛さの一因になります。
それでもSES営業が向いている人の特徴
SES営業は合わない人には厳しい一方で、向いている人には安定して成果が出やすい仕事です。
向いている傾向としては、
- 人間関係の調整を苦にしない
- 感情と業務を切り分けられる
- トラブル対応を冷静に処理できる
- IT知識を継続的に学べる
- 数字や条件交渉を現実的に捉えられる
といった点が挙げられます。
SES営業として働くメリット
辛さが目立ちがちなSES営業ですが、得られるものもあります。
- IT業界の構造理解が深まる
- エンジニア視点と企業視点の両方を学べる
- 法人営業・調整力が身につく
- 若いうちから裁量を持ちやすい
- 人材業界・IT業界内でのキャリア展開がしやすい
将来的に、採用・事業企画・フリーランス支援などに関わりたい人にとっては、実務的な知識が蓄積されやすいポジションでもあります。
辛さの大部分は「会社選び」で決まる
SES営業の辛さは、個人能力よりも会社の仕組みに大きく左右されます。
確認すべきポイントとしては、
- 自社エンジニア比率
- 営業1人あたりの担当人数
- 無理な多重下請け構造でないか
- 評価制度が明文化されているか
- エンジニアフォロー体制の有無
これらが整っていないと、営業に負荷が集中しやすくなります。
まとめ
SES営業が辛いと言われるのは事実ですが、それは
- 人を扱うビジネス構造
- 数字と調整のプレッシャー
- 会社ごとの体制差
といった構造的要因によるものです。
一方で、仕組みの整った会社を選び、自分の適性と合致すれば、SES営業はキャリア的に意味のある経験にもなります。
「辛いかどうか」ではなく、なぜ辛いと言われるのかを理解した上で判断することが重要です。
以上、SES営業は辛いのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










