SES業界の10年後について

AI,イメージ

採用はこちら

SES(システムエンジニアリングサービス)業界については、「将来なくなる」「AIで不要になる」「内製化で終わる」といった極端な言説が繰り返し語られてきました。

しかし、公的調査や制度動向を冷静に整理すると、SESそのものが消滅するというより、役割と価値提供の仕方が変わっていく可能性が高いと見る方が現実的です。


目次

公的資料から確認できる「確かな前提条件」

DX推進・内製化を阻む最大の課題は「人材」

IPA(情報処理推進機構)や経済産業省のDX関連調査では、多くの企業が以下の課題を抱えていることが繰り返し示されています。

  • DXを進めたいが、必要なスキルを持つ人材が不足している
  • どのようなスキルを持った人材が必要か、定義できていない
  • 人材育成や評価の仕組みが追いついていない

これは、「内製化ニーズが存在しない」ことを意味するのではなく、内製化を実現するための人材・体制が整っていない企業が多いという状況を示しています。

つまり、「内製化志向」と「外部人材への依存」は、必ずしも矛盾しません。

IT人材需給は「前提次第で不足が続く」構造

経済産業省のIT人材需給に関する試算では、

  • IT需要の成長率
  • 生産性向上の程度
  • 人材供給の増加率

といった前提条件によって、2030年前後の需給ギャップは大きく変動します。

重要なのは、生産性向上が十分に進まない場合、人材不足が解消しないシナリオも現実的に存在するという点です。

この試算は将来を断定するものではありませんが、「人材が余る前提で議論するのは危険である」という示唆を与えています。

フリーランス新法は「SES全体」ではなく「取引形態」に影響する

2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法(いわゆるフリーランス新法)は、

  • フリーランス(特定受託事業者)との業務委託取引
  • 報酬・業務内容・支払期日等の明示義務

を定めた法律です。

ここで注意すべき点は、

  • この法律はSES業界全体を直接規制するものではない
  • フリーランスへの業務委託を行っている取引に直接適用される

という点です。

したがって影響の大きさは、

  • フリーランスを多く活用するSES企業 → 影響が大きい
  • 正社員中心で再委託が少ないSES企業 → 影響は限定的

と、企業ごとに差があります。

同一労働同一賃金は「派遣」が中心、SESは別枠

同一労働同一賃金は、主に労働者派遣法の枠組みで整理されています。

SESで一般的な「準委任契約」「請負契約」とは、
法的なスキームが異なるため、

  • 同一労働同一賃金がSESを直接規律する
    という理解は正確ではありません。

ただし、客先常駐型の働き方が似通っていることから、

  • 調達側の目線が厳しくなる
  • 契約・労務管理の透明性が求められる

といった周辺的な影響が及ぶ可能性はあります。

上記の事実から考えられる「10年後の見通し」

ここからは予測・見立てです。断定ではなく、「起こりやすい方向性」として整理します。

SESは「二極化する可能性が高い」

今後10年で、SES企業は次のように分かれていく可能性があります。

価値提供型・高度化SES

  • 内製化を進めたい企業の中核を支援
  • クラウド、セキュリティ、データ、運用設計などの専門性
  • チーム提供、体制提供、役割ベースの契約

人数供給中心のSES

  • 人月前提でのアサインが中心
  • 単価上昇が難しく、採用競争が激化
  • 景気や大型案件に左右されやすい

これは「どちらかが消える」という話ではなく、収益性・交渉力・成長性に差がつきやすくなるという意味での二極化です。

契約は「人月」から「役割・責任」へ寄っていく

発注側が成熟するほど、

  • 何人いるか
  • 何ヶ月常駐するか

よりも、

  • 何を担うのか
  • どこまで責任を負うのか
  • 成果や期待値は何か

といった役割ベースの調達が増える傾向があります。

これはSESが「人を貸す業態」から、機能や体制を提供する業態へ近づくことを意味します。

生成AIの影響は「仕事が消える」より「仕事の比重が変わる」

生成AIの普及により、

  • 実装
  • テスト
  • ドキュメント作成

といった作業の効率化は進みやすくなります。

一方で、

  • 要件定義
  • 設計判断
  • 品質保証
  • セキュリティ
  • 運用・改善

といった「責任を伴う業務」は、依然として人の関与が不可欠です。

その結果、SESにおいても単純作業の比重が下がり、上流・横断的スキルの重要性が増すという変化が起きやすいと考えられます。

10年後を見据えた現実的なまとめ

  • SES業界が消滅する可能性は低い
  • ただし「人月前提・属人的」なモデルは厳しさが増す
  • 内製化を進めたい企業と、人材・体制不足のギャップは当面続く
  • SESは「外注先」から「内製化を支える外部戦力」へ役割が変わる可能性が高い

10年後のSESは、「人を出す業界」ではなく「機能と責任を提供する業界」として再定義されている可能性があります。

以上、SES業界の10年後についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次