SESの給料の仕組みについて

SE,イメージ

採用はこちら

SES(システムエンジニアリングサービス)の給料体系は、IT業界の中でも構造が分かりづらく、誤解が生じやすい仕組みです。

「なぜこの給料なのか」「なぜ単価が上がっても給料が変わらないのか」を理解するには、会社の利益構造まで含めて把握する必要があります

ここでは、実態として多いケースをベースに、
・現場単価
・還元率
・待機時の扱い
・昇給ルール
について、事実としてブレにくい形で解説します。

目次

SESの給料は「現場単価」を起点に設計されることが多い

SESでは、エンジニア個人の給料はクライアントに請求される「現場単価」から逆算される形で決まるケースが一般的です。

現場単価とは

  • SES企業がクライアント企業に請求する エンジニア1人あたりの月額金額
  • 契約形態は主に「準委任契約」が多く、月額固定(精算幅あり/なし)で契約されます

あくまで目安ですが、

  • 月60〜80万円程度の単価帯が多く見られ
  • 上流工程・専門性が高い領域ではさらに高額になることもあります

この現場単価がSES企業の売上の入口となり、ここから人件費や会社コストが支払われます。

給料を左右する「還元率」は重要だが、定義に注意が必要

SESでよく語られるのが「還元率」です。

還元率とは

  • 現場単価のうち、どれだけをエンジニアに還元する設計かという考え方

一般的には、

  • 50〜60%前後:標準的なSES
  • 70%以上:高還元SES
    と説明されることが多いですが、ここで重要なのは「何を還元率の分母・分子にしているか」です。

注意点(非常に重要)

  • 還元率の定義は 会社ごとに異なります
  • 「還元率70%」でも、その70%から
  • 社会保険料の会社負担分
  • 福利厚生費
  • 待機原資
    を差し引く設計の場合もあります

つまり、

還元率が高い = 手取りが必ず多い
ではありません。

そのため、還元率を見る際は「どこまで含んだ数字か」を必ず確認する必要があります。

給料形態は「固定月給制」が主流

SESの多くは、固定月給制(基本給+各種手当)を採用しています。

この仕組みの特徴

  • 稼働日数や成果で月給が変動しない
  • クライアント評価が高くても、即座に給料へ反映されない
  • 単価アップがあっても、反映は次の評価時期になることが多い

一部には単価連動型・売上連動型に近い設計もありますが、「単価が上がれば即給料も上がる」会社は少数派というのが実態です。

ボーナス(賞与)は会社ごとの差が非常に大きい

SESの賞与は、仕組みが統一されていません。

主なパターン

  • 年2回支給(業績・評価連動)
  • ほぼなし(その分月給を高めに設定)
  • 名目上は賞与だが、実質は年収調整用

重要なのは、

「月給が高いか」ではなく「年収トータルでいくらか」

を見ることです。

待機期間の給料は「会社の制度」と「法律」の両方で決まる

SES特有の論点が「待機期間」です。

実態として多いパターン

会社の考え方待機時の支給例
良心的給料100%支給
一般的一定割合支給
問題あり大幅減額

法律上の下限

  • 会社都合で就業できない場合(休業)は、
    労働基準法により 平均賃金の60%以上の休業手当が必要です

「正社員だから必ず満額支給」というわけではありませんが、最低ラインは法律で定められています

そのため、

  • 待機時の給与割合
  • 休業扱いになる条件
    は、必ず事前に確認すべき重要事項です。

社会保険料は「給料以外の会社コスト」として確実に存在する

SES企業が単価から差し引くコストには、

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険
    などがあります。

これらは原則として会社と従業員が折半で負担します。

そのため、

  • エンジニアの手取り以上に
  • 会社側は一定の人件費を負担している
    という構造があります。

昇給は「単価アップ」と必ずしも連動しない

昇給の仕組みは大きく分けて2つです。

単価連動型

  • 現場単価が上がれば給料も上がる
  • 透明性が高い
  • 高還元SESに多い

評価制

  • 年1回などの評価タイミングで決定
  • 単価が上がっても反映まで時間がかかる

実態としては、

単価アップ → 半年〜1年後に反映
というケースが多く見られます。

SESの給料構造のメリット・デメリット

メリット

  • 未経験・経験浅でもIT業界に入りやすい
  • 毎月の収入が安定している
  • 大手案件に関われる可能性がある

デメリット

  • 単価と給料の関係が見えにくい
  • 実力が給料に反映されにくい
  • 長期的に年収が伸びにくい構造になりやすい

まとめ:SESの給料は「個人の価値」だけで決まらない

SESの給料は、

スキル × 会社の制度 × 契約構造

の掛け算で決まります。

そのため、

  • 単価はいくらか
  • 還元率の定義は何か
  • 待機時の扱いはどうなるか
  • 昇給ルールは明文化されているか

を理解せずに働くと、知らないうちに不利な条件を受け入れてしまうことになりかねません。

以上、SESの給料の仕組みについてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次