SESの引き抜きでトラブルにならないための対処法について

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SES(システムエンジニアリングサービス)における「引き抜き」は、転職そのものが違法なのではなく、契約内容と行為の態様次第で問題になる点を正しく理解することが重要です。

以下では、法律・契約・実務慣行の観点から見て“誤解されやすいポイント”を整理しつつ、トラブルを避けるための現実的な対処法を解説します。

目次

SESの引き抜きが問題になる本当の理由

SESの引き抜きが問題視されるのは、主に次の3点に抵触する可能性があるためです。

  • 企業間契約(SES企業 ↔ クライアント)における
    非勧誘条項・直接雇用制限条項への違反
  • 業務上の関係性を利用した勧誘による
    信義則違反・背信的行為
  • 業務で知り得た情報を利用した
    営業秘密・機密情報の不正利用

重要なのは、「転職したかどうか」ではなく「どのような経緯・立場・手段で行われたか」です。

引き抜きトラブルを防ぐための大原則

原則①:契約書の確認が最優先

確認すべき契約は必ず分けて考えます。

  • SES企業 ↔ クライアントの業務委託・準委任契約
  • SES企業 ↔ エンジニアの雇用契約・就業規則

特に注視すべき文言は以下です。

  • 非勧誘条項(一定期間の直接雇用・勧誘禁止)
  • 契約終了後の制限期間・対象範囲
  • 損害賠償や責任の考え方(※違約金とは区別)

原則②:業務上の立場を使って勧誘しない

以下の行為は、法的リスク以前に“証拠として非常に不利”になります。

  • 現場での立場を利用した勧誘・条件提示
  • 業務用ツール(Slack・Teams等)での採用連絡
  • 業務時間中の転職交渉

これらは「業務上の関係性を利用した勧誘」と評価されやすくなります。

原則③:時間・経路・関係性を切り離す

安全性を高めるための基本整理です。

  • 契約終了後であること
  • 私的な連絡手段であること
  • 業務と無関係な時間帯であること

この3点を守ることで、引き抜きと評価されるリスクは大きく下がります。

【重要修正】違約金・損害賠償に関する正確な整理

労働者(エンジニア)に対する違約金は原則NG

雇用契約において、

  • 「退職したら○万円支払う」
  • 「引き抜きに応じたら一律○万円」

といった あらかじめ金額を定めた違約金・賠償予定は、労働基準法16条により原則として禁止されています。

※これは「損害が出た場合に請求できない」という意味ではなく、“事前に定額で縛ること”が禁止されている、という整理です。

企業間契約の違約金・補償は別問題

一方で、

  • SES企業 ↔ クライアント
  • 元請 ↔ 下請

といった企業間契約では、

  • 非勧誘条項
  • 合理的な範囲での損害補填条項

有効と判断される余地はあります

ただしここでも、

  • 制限期間が長すぎないか
  • 対象者が広すぎないか
  • 実務上の必要性があるか

といった 合理性が重要になります。

クールダウン期間の正しい位置づけ

「一定期間を空ければ安全」という理解は正確ではありません。

  • クールダウン期間は引き抜き意図を否定しやすくする“事情の一つ”にはなり得ます
  • しかし、企業間契約で明確な非勧誘条項がある場合、期間を空けても違反になる可能性は残ります

つまり、

クールダウン=免罪符
ではなく、
クールダウン=リスクを下げる補助要素

という位置づけが正確です。

【SES企業側】トラブルを防ぐための現実的対策

  • 非勧誘条項は
    期間・対象・目的を限定して明確化
  • 雇用契約では
    違約金ではなく 守秘義務・情報管理義務を重視
  • エンジニアに対して
    「何が問題になり、何が問題にならないか」を説明する

過度な締め付けは、かえって水面下の離脱を招きます。

【クライアント側】合法的に採用するための考え方

  • 現場で直接勧誘しない
  • 採用意向がある場合は
    正式ルートでSES企業に相談
  • 必要に応じて
    紹介料・契約調整・期間調整を検討

結果的にこの方が、長期的な信用コストは低くなります。

【最重要】営業秘密・情報持ち出しは絶対に避ける

引き抜きトラブルが一気に深刻化する最大要因は、

  • 顧客情報
  • 単価・契約条件
  • 技術資料・設計情報

などの 持ち出し・持ち込みです。

これは単なる契約違反ではなく、不正競争防止法・刑事責任に発展する可能性があります。

引き抜き対策で最優先すべきは、

「人」よりも
「情報を動かさないこと」

です。

まとめ

SESの引き抜きでトラブルを避けるためには、

  1. 契約の種類(企業間か雇用か)を分けて考える
  2. 違約金と損害賠償を混同しない
  3. クールダウン期間を過信しない
  4. 業務上の立場・情報を使わない
  5. 営業秘密を最優先で守る

この5点を押さえることで、法的・実務的な事故リスクは大幅に下げられます。

以上、SESの引き抜きでトラブルにならないための対処法についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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