SES(システムエンジニアリングサービス)は、IT業界で広く利用されている労働形態の一つです。
しかし、近年の業界動向や技術の進化を踏まえて、SESの将来性について議論されることが増えています。
その背景と、SESの将来性に関する詳細な要因について詳しく説明します。
目次
SESの現状と背景
SESは、エンジニアがクライアント企業に常駐し、その企業のシステム開発や保守運用などの業務を行う形態です。
SESは、プロジェクトごとにエンジニアを配置できる柔軟性があり、企業側にとっても短期間で人材を確保できるため、これまで非常に一般的な形態でした。
将来性が疑問視される理由
技術の進化と自動化の進展
- クラウドコンピューティング: クラウドの普及により、企業は物理サーバーの管理やオンプレミスのシステム開発から離れつつあります。これにより、クラウドサービスを活用した開発や運用のノウハウが重視されるようになり、SESのような常駐型の業務の需要が減少する可能性があります。
- 自動化ツールとDevOps: 開発プロセスの自動化(CI/CD)やインフラの自動化(IaC:Infrastructure as Code)の導入が進むことで、人手を介さない効率的な開発・運用が可能になっています。このため、SESで提供される人力によるサポートのニーズが減少する可能性があります。
リモートワークの普及
- 働き方の変革: 新型コロナウイルスの影響により、リモートワークが急速に普及しました。これにより、必ずしもクライアント先に常駐する必要がないと考える企業が増え、リモートでの業務が可能な形態が増加しています。SESは本質的に常駐型であるため、この変化に適応するのが難しい面があります。
エンジニアのキャリア志向
- キャリアパスの多様化: エンジニアのスキルやキャリア志向が多様化し、特定の分野で専門性を高めたいというニーズが高まっています。SESではクライアントの要望に応じてさまざまなプロジェクトに参画するため、特定の分野で深い専門知識を磨くのが難しいという声があります。このため、エンジニア側からもSESの将来性に疑問を持つ人が増えていると考えられます。
SESの将来性に対する見解
プロジェクトベースのニーズは依然存在
- SESの将来性が疑問視される一方で、短期間で大規模なプロジェクトを立ち上げる際や、専門的なスキルセットを持つエンジニアが一時的に必要な場合など、プロジェクトベースのニーズは今後も存在するでしょう。
サービスの高度化と専門化
- SES企業が単なる人材提供ではなく、サービスの高度化や専門化を図ることで、付加価値を提供できるかが将来性の鍵となります。例えば、特定の技術領域に特化したコンサルティングや、AI・データサイエンスなど高度なスキルを持つエンジニアを提供するサービスなどです。
マネージドサービスへのシフト
- SESのモデルから、より付加価値の高いマネージドサービス(システムの運用・保守・監視などのアウトソーシング)へのシフトも考えられます。これにより、クライアント企業は自社のコアビジネスに集中でき、SES企業側も持続的なビジネスモデルを構築することが可能です。
まとめ
SESの将来性については、技術の進化、リモートワークの普及、エンジニアのキャリア志向の変化など、さまざまな要因によって影響を受けています。
しかし、プロジェクトベースのニーズが完全になくなるわけではないため、SESが消滅するというよりも、今後の市場の変化に合わせてサービス内容の高度化や専門化、マネージドサービスへのシフトなど、適応が求められると考えられます。
将来の展望としては、SES企業がどれだけ市場のニーズに適応し、付加価値を提供できるかが鍵となります。
これにより、SESの形態が変わるとしても、ビジネスとしての存続は可能です。
以上、SESに将来性はないのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。