SESエンジニアでずっとテスターの時の対処法

プログラマー,イメージ

採用はこちら

SESエンジニアとしてキャリアを積む中で、「テスター業務が長く続き、次のステップに進めない」という悩みを抱える人は少なくありません。

この問題は、本人の能力不足だけで起きるものではなく、SESという契約形態・現場構造・役割設計が複合的に影響しています。

まずは背景を正しく理解し、そのうえで取るべき行動を整理することが重要です。

目次

なぜSESではテスター業務が長期化しやすいのか

SES(準委任)特有の構造的要因

SESは多くの場合、成果物の納品ではなく「稼働」に対して報酬が支払われる契約形態です。

そのため現場では、次のような運用が起きやすくなります。

  • 役割ごとに人数枠が固定されている
  • 「テスト枠」「開発枠」が明確に分かれている
  • 一度入った役割から動きにくい

この結果、テスト要員として参画したエンジニアが、契約上・運用上の理由で役割変更しづらいケースが多くなります。

会社都合だけでなく、現場都合も大きい

テスター固定は、会社側の判断だけでなく、次のような現場事情によっても起こります。

  • 開発枠は上位会社のメンバーで埋まっている
  • ソースコードや本番環境へのアクセス権限が限定されている
  • セキュリティや契約条件上、業務範囲が厳密に決まっている

このため、本人が希望しても「現場としては難しい」という判断になることも珍しくありません。

テスター業務が長期化した場合に考えるべきリスク

ここで重要なのは、「テスト経験=無価値」ではないという点です。

ただし、目指すキャリアによって評価が分かれることは理解しておく必要があります。

開発職を目指す場合の注意点

開発エンジニアへの転向を考えている場合、採用では次の点が重視されやすくなります。

  • 実装経験の有無
  • どの言語で、どの規模のコードを書いたか
  • 設計や改修にどの程度関わったか

そのため、テスト業務中心の期間が長いと、「実装経験が少ない」と評価され、不利になる可能性があるのは事実です。

QA・テスト職としてのキャリアは別評価軸

一方で、テスト・QA職として見た場合は話が変わります。

  • テスト設計(観点設計、網羅性、リスク分析)
  • テストプロセス改善
  • テスト自動化やCI連携
  • 品質指標の設計・運用

これらに関わっている場合、テスト経験は明確な専門性として評価されます。

問題は「テストをしていること」ではなく、業務範囲が実行止まりで固定されていることです。

まず取るべき社内での現実的なアクション

希望は抽象化せず、役割で伝える

社内や営業担当に相談する際は、以下のように具体化することが重要です。

  • 「テスト専任ではなく、実装や改修を含む案件を希望したい」
  • 「次回案件ではテスト設計や自動化にも関われる案件を探してほしい」

「成長したい」「スキルアップしたい」といった抽象的な表現だけでは、要望が正しく伝わらないことが多い点に注意が必要です。

条件と目安を確認する

可能であれば、以下を確認します。

  • どのレベルのスキルがあれば開発案件にアサイン可能か
  • 社内で開発案件に移る実績はあるか
  • どれくらいの期間を目安に考えればよいか

ゴールが不明確なまま努力すると、状況が変わらないまま時間だけが過ぎてしまいます。

現場でできる「+α」の積み上げ

現場では、受け身で業務をこなすだけでは役割は変わりにくいのが現実です。

狙いやすい領域としては、

  • テスト自動化(Selenium、Playwright、Cypress 等)
  • 軽微な修正(設定ファイル、SQL、簡単なバグ修正)
  • テスト仕様書や観点の改善提案

重要なのは、「コードや設計に関わった実績を少しでも作ること」です。

規模の大小よりも、「触った事実」が次につながります。

社外で並行して進めるべき対策

ポートフォリオ・自主開発の活用

開発職を視野に入れる場合、ポートフォリオは実務経験不足を補う材料になります。

  • 簡単なWebアプリ(CRUD)
  • API連携
  • GitHubでのコード公開

完璧である必要はなく、「設計意図を説明できる」ことが重要です。

転職市場での評価を把握する

すぐに転職しなくても、エージェントに相談する価値はあります。

  • 現在の経験がどう評価されるか
  • どの職種・ポジションが現実的か
  • 不足している要素は何か

これを知ることで、社内に留まるか環境を変えるかの判断材料になります。

それでも改善しない場合の選択肢

  • 開発・QA育成実績のあるSES企業へ移る
  • 役割変更を前提に、条件を一部下げて案件を選ぶ
  • QA/SET(SDET)として専門性を伸ばす方向に切り替える

いずれも「逃げ」ではなく、将来の市場価値を意識した戦略的な選択です。

まとめ

  • SESでは構造上、テスター業務が固定化しやすい
  • テスト経験自体が問題なのではなく、業務範囲の狭さが課題
  • 開発志向か、QA志向かで取るべき行動は変わる
  • 社内交渉と社外準備は並行して進めるべき
  • 環境を変える決断も、十分に現実的な選択肢

このテーマは「正解が一つ」ではありません。

目指す方向によって、最適解は変わります。

以上、SESエンジニアでずっとテスターの時の対処法についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次