SESが残業が多いと言われる理由について

残業,イメージ

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SES(システムエンジニアリングサービス)は、IT業界では一般的な働き方である一方、「残業が多い」「きつい」「消耗する」といったイメージを持たれやすいのも事実です。

ただし、その理由は単純に「SES=ブラック」という話ではなく、業界構造・契約形態・現場運用・エンジニアの立場が重なって生まれるものです。

ここでは、誤解されやすいポイントを整理しながら、なぜSESで残業が発生しやすいのかを正確に解説します。

目次

SESの基本構造が「働き方をコントロールしにくい」

SESは、自社で開発するのではなく、顧客企業のプロジェクトにエンジニアが常駐して業務を行う形態です。

  • 雇用主:SES企業
  • 業務の場:顧客企業(常駐先)
  • プロジェクト運営:顧客側主導で進むことが多い

指揮命令についての正確な整理

多くのSESは「準委任契約」であり、契約上は指揮命令権はSES企業側にあります

つまり、本来は常駐先がエンジニア個人に対して、直接・具体的な指示命令を行う形は適切ではありません。

しかし実務上は、

  • 朝会・進捗確認・レビュー
  • 作業の優先順位調整
  • 障害対応の即時要請

など、常駐先の運用やプロジェクト体制が、エンジニアの業務負荷や稼働時間を事実上左右する場面が多くなります。

この「契約上の建て付け」と「現場の実態」のズレが、SESの働き方を難しくしている要因の一つです。

プロジェクト側の事情で残業が発生しやすい

スケジュールが現実的でないケース

ITプロジェクトでは、

  • 要件が固まらないまま開発が始まる
  • 見積もりが甘い
  • 営業都合で納期が短縮される

といったことが珍しくありません。

SESエンジニアは、こうした途中から修正が難しいプロジェクトに後から参加することも多く、結果として、

  • リリース前の長時間稼働
  • 障害対応による突発的残業
  • テスト・修正の山を短期間で処理

といった負荷を受けやすくなります。

IT業界の人手不足がSESに集中しやすい

IT業界全体は慢性的な人材不足の状態にあります。

そのため現場では、

  • 中核メンバー(プロパー)は少人数
  • 実装・テスト・改修は外部人材(SES)で補う

という体制が組まれがちです。

この構図では、作業量の多い工程がSESに集中しやすく、結果として残業が増えることがあります。

SESエンジニアが「断りにくい立場」に置かれやすい

SESエンジニアは、心理的に以下のような状況に陥りやすい傾向があります。

  • 契約更新や評価を意識してしまう
  • 「今の現場を外されたら次が不安」
  • 経験が浅く、意見を言いづらい

特に若手の場合、

  • 雑務や細かい修正対応を任されやすい
  • 「勉強になるから」と残業が正当化されやすい

といった理由で、結果的に長時間稼働を受け入れてしまうケースが見られます。

準委任契約と稼働時間の関係

SESで多い準委任契約は、

  • 成果物の完成を約束する契約ではなく
  • 業務の遂行そのものを対象とする契約

です。

実務上は、

  • 月額固定+精算幅(例:140〜180時間)
  • 稼働が一定範囲内で調整される

といった形が一般的です。

このため、

  • 効率化して早く終わらせるインセンティブが弱い現場
  • 「忙しい状態」が放置されやすい運用

になることがあり、構造的に残業が温存されやすい場合があるのは事実です。

ただし、「残業すればするほど得をする」と一概に言えるわけではなく、これは現場の運用・契約条件・管理体制によって大きく異なります

SES企業側のフォロー体制の差

SES企業の姿勢によって、残業リスクは大きく変わります。

  • 稼働時間をきちんと把握しているか
  • 無理な要求に対して調整・是正を行うか
  • エンジニアの声を拾い上げる体制があるか

これらが弱いと、エンジニアが常駐先と直接向き合い続ける状態になり、負荷が蓄積しやすくなります

一方で、フォローが手厚いSES企業では、

  • 残業が常態化しない案件選定
  • 稼働が増えた場合の現場調整
  • 配置換えの柔軟さ

などにより、比較的安定した働き方が実現しているケースもあります。

「SES=必ず残業が多い」わけではない

重要なのは、SESという働き方そのものが問題なのではなく、

  • どの会社に所属するか
  • どの現場に入るか
  • どんな契約・運用になっているか

で、実態が大きく変わるという点です。

実際に、

  • 残業がほぼない現場
  • リモート中心で落ち着いた案件
  • 上流工程メインのSES

も存在します。

まとめ:SESで残業が多いと言われる本質的な理由

SESが残業が多いと言われやすい理由は、

エンジニア自身が働き方を主体的にコントロールしにくい構造に置かれやすいから

です。

  • 常駐先主導で進むプロジェクト
  • 人手不足による負荷集中
  • 準委任契約の運用次第で稼働が膨らむ構造
  • 立場の弱さから無理を飲み込みやすい心理

これらが重なった結果、
「SES=残業が多い」というイメージが形成されています。

ただし、適切な会社・案件・フォロー体制を選べば、SESでも健全な働き方は十分可能です。

以上、SESが残業が多いと言われる理由についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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