SESでは「案件が決まらず待機になる期間」が一定確率で発生します。
このとき多くの人が不安になるのが、給料はどうなるのか/減るのか/最悪ゼロになるのかという点です。
結論から言うと、「雇用契約がすでに始まっているかどうか」で扱いは大きく変わり、雇用中であれば、会社は原則として何らかの賃金(または休業手当)を支払う義務があります。
以下、法律の建て付けとSES特有の実務を踏まえて、正確に整理します。
最重要ポイント:雇用が「開始しているかどうか」
まず、すべての前提になるのがここです。
すでに入社している(雇用契約が開始している)場合
正社員・契約社員を問わず、雇用契約が有効に始まっているなら、案件がなくても雇用関係は継続しています。
この場合、待機期間は次のどちらかに分類されます。
- 勤務扱い
- 休業扱い(会社都合)
どちらに該当するかで、給料の考え方が変わります。
まだ入社前(雇用開始日が来ていない)場合
「案件が決まったら入社」「参画開始日=雇用開始日」という形のSESも存在します。
この場合は、そもそも雇用関係が始まっていないため、賃金請求権自体が発生していない可能性があります。
ここは感情論ではなく、雇用契約書・労働条件通知書に書かれた「雇用開始日」で判断されます。
待機中でも「勤務扱い」になるケース
待機中であっても、次のような状態なら、実態としては労働(勤務)と評価される可能性が高いです。
- 会社から研修受講・課題提出を指示されている
- 日報や稼働報告の提出を求められている
- 出社または「すぐ稼働できる状態」での待機を命じられている
- 社内業務(検証、資料作成、営業同席など)を行っている
- 指揮命令下に置かれている状態が明確
このような場合、「待機」という名前でも実態は労働です。
給料はどうなる?
原則として、労働の対価として賃金が支払われるべき状態になります。
ただし注意点として、
- 必ずしも「常に満額(月給100%)」と自動的に断定できるわけではない
- 実際の支給額は、
- 賃金規程
- 所定労働時間
- 欠勤控除のルール
- 実際の拘束・稼働時間
などを総合して判断されます。
とはいえ、「何も払わない」「ゼロ円」という扱いは、勤務実態があれば極めて問題になりやすいです。
待機中が「休業扱い」になるケース(会社都合)
一方で、次のような状態なら、休業扱い(会社都合)と整理されることがあります。
- 業務指示・研修・課題などが一切ない
- 自宅待機で、会社から特に何も求められていない
- 働きたくても、会社側の事情で仕事を与えられない
これは、法律上の「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する可能性が高い状態です。
休業扱いの場合の給料:最低ラインは「休業手当」
会社都合で休業させる場合、会社は
平均賃金の60%以上の休業手当
を支払う必要があります。
平均賃金とは?
基本は次の考え方です。
- 原則:
直前3か月間の賃金総額 ÷ その期間の暦日数
ただし実務では、
- 原則計算
- 最低保障額(労働日数ベースの計算)
などを比較して、高い方を採用するという補正があります。
会社が出してきた金額が妥当かどうかは、「どう計算したか」を必ず確認する価値があります。
「待機=無給」「給料ゼロ」は原則NGになりやすい
次の条件がそろっている場合、
- 雇用契約が継続している
- 待機は会社都合
- 労働者に落ち度はない
にもかかわらず、
- 無給
- 0円
- 基本給も一切支払わない
という扱いは、法的にかなりリスクが高い運用です。
少なくとも、「休業手当(平均賃金の60%以上)」という最低ラインは意識されます。
税金・社会保険で「手取りが急減」する点に注意
休業手当について、実務で見落とされがちなのがここです。
- 休業手当は 給与所得として課税対象
- 社会保険料・住民税は、
- 標準報酬月額
- 特別徴収の継続
- 改定タイミング
などの関係で、支給額が減っても即座に軽くならないことがあります。
結果として、
「支給は6割なのに、手取りはそれ以下」
という事態が現実に起こります。
待機が長引いた場合の扱い(解雇・契約終了)
待機が続いたからといって、即解雇が自由になるわけではありません。
ただし実務上、会社が次のような動きを取ることはあります。
- 退職勧奨
- 条件変更・配置転換の提案
- 契約社員の場合の更新拒否
- 能力不足を理由とした評価(立証は会社側が必要)
ここは個別性が非常に強いため、書面(契約書・就業規則・給与規程)と実態の整理が重要になります。
待機になったときの実務チェックリスト
最低限、次は確認してください。
書面
- 雇用契約書/労働条件通知書
- 就業規則
- 給与規程・休業手当規程
実態の証拠
- 研修・課題・業務指示の履歴
- チャット、メール、勤怠記録
- 日報や稼働報告
会社への確認(冷静に)
- 「この期間は勤務扱いですか?休業扱いですか?」
- 「休業扱いなら、休業手当は何%で、計算根拠は何ですか?」
まとめ
- 雇用中なら、案件がなくても“ゼロ円”は原則になりにくい
- 待機は
- 勤務扱いか
- 休業扱い(会社都合)
のどちらかに整理される - 休業なら最低でも
平均賃金の60%以上の休業手当 - 税金・社会保険の影響で、手取りは想像以上に下がることがある
以上、SESの案件が決まらない時の給料についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










